最近、ちょっと変わった靴を買った。
その名は、「ZEROH(ゼロ)」。
5本指タイプのベアフットシューズである。
靴なのだから、本来は足を守るためのもの。 ところが、このZEROHが目指しているのは、どうやらその逆方向でもあるらしい。
靴を履きながら、できるだけ「裸足」に近づける。 足の指を自由にする。 足裏を感じる。 そして、足本来の動きを取り戻していく。
そんな発想の靴だ。
私は現在、ランニングでは「自作ワラーチ」を履いている。 これまで2か月半ほどで約370km。 20km走を3回、15km走を2回、10km程度のランニングも何度も経験した。
その中で、自分でも少し不思議に感じている変化があった。
足の小指が、ちゃんと仕事をするようになってきたのだ。
これまであまり意識したことのなかった足指が、地面をつかむような感覚。 「足って、本来こうやって使うものなのかもしれない」
そんなことを考えるようになった。
そこで興味が出てきたのが、5本指のシューズだった。
ワラーチから、もう一歩
私が普段のランニングで使っているのは、市販のランニングシューズではない。 自分で作ったワラーチだ。
ワラーチの良さは、とにかく足が自由なこと。 ソールは薄く、足指を締め付けるものもない。 地面の状態が、そのまま足裏に伝わってくる。
もちろん、最初から誰にでもおすすめできるものではない。 それなりに足を慣らす必要がある。
私自身も、いきなり長距離を走ったわけではない。 少しずつ距離を伸ばしてきた。
そして今回、 「この感覚を、もう少し安全に、もう少し普通の靴に近い形で実現できないだろうか」 と思った。
そこで選んだのがZEROHだった。
ZEROHが届いた
注文していたZEROHが届いた。

箱を開けて最初に感じたのは、 「思っていた以上に普通の靴っぽい」 ということだった。
もっと裸足感丸出しの、特殊な履き物を想像していた。 ところが実物を見ると、ちゃんと一足のシューズになっている。

ただし、つま先を見ると普通の靴とは明らかに違う。
5本の指が、それぞれ独立している。 親指から小指まで、足の指の形に合わせて分かれている。

ソールもかなり薄い。 そして柔らかい。
手に持って曲げてみても、普通のランニングシューズのような「靴底の硬さ」がない。

これは、かなり期待できそうだ。
数字で見ると、こんなスペックだ。
- ソール厚:約5mm
- 片足重量:約150g
- アッパー:通気性のあるメッシュ素材
- 価格:6,980円(税込)
ソール5mmというのは、普通のランニングシューズを知っている人からすると、ほとんど「無い」に等しい厚みだと思う。
片足150gという軽さも、実際に持ってみると驚く。
そして価格。 7,000円を切っている。
ベアフットシューズというジャンルには、もっと高価なものもある。 最初の一足として試してみるには、手を出しやすい価格帯だと感じた。
サイズはLを選んだ
私の足の実寸は、
- 右足:約25.7cm
- 左足:約25.8cm
幅は左右とも約11cm。
足型は、親指が一番長く、人差し指がそれにかなり近い。
この足でZEROHのサイズを検討し、今回はLサイズを選んだ。
5本指シューズは、普通の靴以上にサイズ選びが重要だと思う。
大きすぎれば、足が靴の中で動いてしまう。 逆に小さすぎれば、せっかく5本の指が自由になるはずなのに、指が押さえつけられてしまう。
今回のLサイズが自分の足にどう合うのか。 これは実際に履いて確かめるしかない。
結論から書いておく。
実寸25.7cmの私の足に、Lサイズはちょうどよかった。
指先が余ることもなく、押さえつけられることもない。 同じくらいの足のサイズで迷っている方には、一つの目安になると思う。
まずは「素足」で履いてみた
そして今回、最初から試したのが、 素足で履くこと。
これには理由がある。
5本指シューズなのだから、まずは靴下を介さず、足そのものとの相性を確認してみたかった。
足を入れてみる。
5本の指が、それぞれの部屋に収まる。
最初は少し不思議な感じがする。
普通の靴では、親指から小指まで全部まとめて一つの空間に入っている。 それがZEROHでは、
「はい、あなたは親指」 「あなたは人差し指」
と、足指一人ひとりに席が用意されている。
(笑)
ちなみに、履くのには少しコツが要る。 指を一本ずつ、それぞれの部屋に入れていく作業は、普通の靴のように「足を突っ込んで終わり」とはいかない。 慣れるまでは、朝の出がけに少し余裕がいるかもしれない。
でも、しばらく履いていると、この違和感はだんだん薄れていった。
むしろ面白い。
足指を意識する。 それだけでも、普段の靴とはかなり違う。
そして、いよいよ仕事で履いてみた
今回のZEROHを、最初からランニングだけで使おうとは考えていなかった。
私のもう一つの重要な場所。
ここで試してみたかった。
路線バスの運転では、足をかなり細かく使う。
アクセル。 ブレーキ。 そして、状況に応じて足を何度も動かす。
乗用車とは違って、車体も大きい。 お客様を乗せて走る仕事だから、足元の感覚は決して軽く考えられない。
だからこそ、 「裸足に近い靴で、バスの運転はどうなるのか?」 という疑問があった。
ペダルを踏んでみて、最初に感じたこと
実際に運転してみて最初に感じたのは、
足裏の感覚が分かりやすい。
ということだった。
靴底が厚い靴の場合、ペダルと足の間に一枚クッションが入っているような感覚がある。 もちろん、それが悪いわけではない。 むしろ長時間の運転では、そのクッション性がありがたい場合もある。
ところがZEROHは違う。
ソールが薄く、柔軟なので、
「今、足のどこでペダルを踏んでいるのか」
が分かりやすい。
アクセルを踏む。 少し戻す。 ブレーキに移る。
その一つ一つで、足裏から情報が入ってくる。
これは、なかなか面白い。
もう少し具体的に書いておく。
アクセルもブレーキも、普段の靴を履いているときより、気持ち強めに踏む感覚になる。 靴底が薄いぶん、ペダルに伝える力を足が直接出している、という感じだろうか。
最初のうちは、それを意識しながら踏んでいた。
ただ、これはすぐに慣れた。 数十分も走れば、特別に意識することはなくなっていた。
そして何より、指が5本に分かれているのが非常に気持ちがいい。
運転席という、ずっと座りっぱなしで足だけを動かす場所で、足の指が自由でいられる。 これは思っていた以上に快適だった。
そのまま一日乗務してみたが、特別な疲労感が出ることも、どこかに痛みが出ることもなかった。
翌日もまた履きたい。 素直に、そう思える履き心地だった。
これまで履いていた靴との違い
これまで仕事で使っていたのは、写真のPUMAのシューズ。

こちらも比較的運転しやすい靴だ。 ソールもそれほど分厚くなく、足元の操作性は悪くない。
だから、
「普通の靴からZEROHに変えたら、劇的に違った」
というほど単純な話ではない。
むしろ比較してみると面白い。
PUMAは、
「靴として足をしっかりまとめてくれる」
感じ。
ZEROHは、
「足そのものを自由にしてくれる」
感じ。
この違いは大きい。
そして、意外だったのが「小指」
私は最近、自作ワラーチで走っていて、足の小指の存在を以前より強く感じるようになった。
昔は、小指なんてほとんど意識していなかった。
ところが今では、
「小指も地面を感じている」
という感覚がある。
ZEROHを履いてみると、この感覚がさらに分かりやすい。
5本の指が別々になっているから、
「足指が全部まとめて一つ」ではなく、「5本がそれぞれ動いている」
という感じがする。
これが5本指シューズの一番面白いところなのかもしれない。
「靴を履く」ということを考え直す
今回ZEROHを履いてみて、改めて考えた。
私たちは普段、当たり前のように靴を履いている。
当然だ。
道路には石がある。 雨も降る。 夏は暑いし、冬は寒い。 仕事では安全性も必要だ。
だから靴は必要になる。
でも、その一方で、
靴によって足を守りすぎている部分もあるのではないか。
そんな疑問も出てくる。
足は本来、身体を支えるための器官だ。 指も5本ある。 土踏まずもある。 足裏にはたくさんの感覚がある。
それなのに、靴の中に全部押し込めてしまう。
もちろん、だからといって裸足が正解だとは思わない。
大切なのは、
「必要以上に足を拘束しない」
という考え方なのかもしれない。
私がワラーチに興味を持ったのも、そこだった。 そしてZEROHは、それを「靴」という形で実現しようとしている。
路線バス運転士にZEROHはアリなのか?
ここは、もう少し長く使ってから結論を出したい。
ただ、現時点ではかなり好印象だ。
特に、
- 足指を自由に動かせる
- ソールが薄い
- ペダルの感覚が伝わりやすい
- 素足でも履ける
- 足全体を使っている感覚がある
という点は、運転との相性が良さそうだ。
一日乗務してみて、足が痛くなることも、妙な疲れが出ることもなかった。 これは正直、いい意味で予想外だった。
一方で、仕事用として考えるなら、まだ確認したいこともある。
雨の日に滑らないか。 濡れた状態でどうなるか。 真夏や真冬に、この薄さでどうなるか。 そして、毎日これで乗務し続けたとき、足がどう変わっていくか。
一日履いただけでは、まだ分からない部分だ。
なお、業務で履く靴については会社ごとに規定がある場合もある。 実際に乗務で使うかどうかは、自分の職場のルールを確認したうえで判断するのが安全だと思う。
「裸足に近づく」のではなく、「自分の足を取り戻す」
ZEROHという名前には「ゼロ」という意味がある。
余計なものを取り払って、ゼロに戻る。 そんなイメージなのだろうか。
私にとっては、
「裸足に戻る」
というより、
「自分の足をもう一度ちゃんと使ってみる」
という感覚に近い。
57歳になって、今さら足の使い方を考える。
若い頃なら、そんなことを考えもしなかっただろう。
野球をして、走って、筋トレをして。 身体は勝手に動いてくれるものだと思っていた。
でも、年齢を重ねるほど、
「動けることは当たり前ではない」
と感じるようになってきた。
だからこそ、足の指一本一本まで意識してみる。
それも悪くない。
しばらく使ってみます
今回のZEROHは、まだ使い始めたばかり。
だから、この時点で、
「最高の靴です!」
などとは言わない。
そんな簡単に評価できるものではないと思っている。
特に私は、ランニングでは自作ワラーチをかなり気に入っている。 そのワラーチと比べてZEROHがどうなのか。 そして、仕事の路線バスではどうなのか。
これは、しばらく使ってみてから改めて報告したい。
今のところは、
「これは、ちょっと面白い靴を手に入れたぞ」
というのが正直な感想だ。
ランニング。 ウォーキング。 そして、路線バスの運転。
一足の靴で、足がどんなふうに変わっていくのか。
しばらくZEROHと付き合ってみようと思う。
「歩くこと、もっと自由に。もっと素直に。」
箱に書かれていた言葉が、今は少し分かる気がする。
気になった方は、サイズ表を見ながら選んでみてください。私は実寸25.7cm・幅11cmで、Lがちょうどでした。
※この記事について
これはあくまで、私自身が実際にZEROHを履いて感じた個人的なレビューです。
特に路線バスの運転については、車両やペダル形状、運転環境によって感覚は変わります。
また、ベアフット系シューズは一般的なクッション性の高いランニングシューズとは性格が異なるため、初めて使う場合は無理に距離を伸ばさず、足の状態を見ながら少しずつ慣らしていくのがよいと思います。