「1億円ためないと自由になれない」って本当?──『「パラレルインカム」のはじめ方』をやさしく解説!

「FIRE(経済的自立と早期リタイア)」という言葉を聞いて、こう思ったことはありませんか? 「1億円ためて仕事を辞める? そんなの、自分には無理だ」 たしかに、よくあるFIRE本のゴールはかなり遠い場所にあります。でも、この『「パラレルインカム」のはじめ方』が教えてくれるのは、「仕事は辞めない。それでも自由になる」という第三の道です。表紙にも「年収300万円からできる進化版FIRE」と書かれています。 今回は、この本の考え方を、むずかしい言葉をできるだけ使わずに解説します。投資の知識がゼロでも、最後まで読めば「自分は次に何をすればいいのか」がはっきりするはずです。 著者はどんな人? 著者は泉正人(いずみ・まさと)さん。累計64万人が学んだといわれるマネースクール「ファイナンシャルアカデミー」の代表です。監修も同アカデミーが担当しています。 自分自身が会社を立ち上げ、気づけば「パラレルインカム」を実践していた——という体験がベースになっているので、机上の空論ではなく、実際に歩いた道の話として読めるのが特徴です。 ポイント1:「お金のなる木」を2本持つ パラレルインカムとは、直訳すると「収入の複線化」。会社の給料という1本の線と並べて、もう1本の収入の線を通す、という意味です。 大事なのは、その2本目が「アルバイト」ではないということ。 労働所得(働いて得るお金) + 資産所得(働かなくても入ってくるお金) これがパラレルインカムの正体です。本書では、これを「お金のなる木を2本持つ」と表現しています。1本目は自分で水をやり続ける木、2本目は勝手に実をつけてくれる木、というイメージです。 副業をもう1つ増やすのは、水やりする木を増やすのと同じ。収入は増えても、時間はどんどん減っていきます。目指すのは、そこではありません。「休んでも止まらない流れ」を1本つくることが、この本の出発点です。 ポイント2:FIREとのいちばん大きな違いは「仕事を辞めないこと」 FIREは「早期リタイア」、つまり仕事を辞めるのがゴールです。でも著者は、そこに疑問を投げかけます。 辞めたあと、時間を持て余してしまう人が意外と多いからです。 パラレルインカムでは、仕事は続けます。ただし、お金のためだけにイヤイヤ続ける仕事ではなく、「好きだからやる仕事」に変えていく。ここが決定的な違いです。 学校でも会社でも、「やらされている作業」と「自分で選んだ活動」では、同じ時間でも疲れ方がまるで違いますよね。パラレルインカムが目指すのは、後者の状態です。 さらに、仕事を続けることには現実的なメリットもあります。収入の柱が2本あれば、片方が不調でも生活は崩れません。株価が下がった年も給料は入るし、病気や転職で働けない時期があっても資産所得が支えてくれる。辞めないという選択は、安全装置でもあるのです。 ポイント3:ゴールは「1億円」ではなく「生活費 < 資産所得」 この本のゴールラインは、とてもシンプルです。 毎月の生活費を、資産所得が上回ること たとえば生活費が月20万円なら、資産所得が月20万円をこえた瞬間、あなたは「働かなくても生きていける状態」になります。そこから先の労働は、生活のためではなく、やりたいからやる労働に変わります。 「1億円」という数字を目標にすると気が遠くなりますが、「月20万円」なら、まだ手が届きそうに感じませんか。ゴールの置き方を変えるだけで、道のりの見え方は変わります。 しかも、このゴールにはもう1つの近づき方があります。それは、生活費のほうを下げること。生活費が月30万円の人と月18万円の人では、必要な資産所得がまったく違います。支出を見直すことは、我慢ではなくゴールラインを自分のほうへ引き寄せる作業なのです。 ポイント4:順番をまちがえない「4つのステップ」 本書は、実現までの道のりを4つの段階に分けています。 労働所得を増やす 資産構築をする(増えた分をためて、元手をつくる) 資産所得をつくる(元手を働かせる) 仕事でも自己実現を達成する ここで大事なのは、順番を飛ばさないことです。 いきなりステップ3から始めようとする人は、とても多い。でも元手がない状態で資産所得だけを追いかけるのは、練習せずに試合に出るようなものです。まずは本業の収入を上げ、支出をコントロールして、種を確保する。地味ですが、ここが土台になります。 ポイント5:「お金の7か条」から学ぶ、日常の習慣 本書の第2章には、暮らしの中で効いてくる7つの心がまえがまとめられています。特に取り入れやすいのが、この2つです。 ① 欲しいものを買う前に、お金を迂回させる 給料が入ったら、使う前に一部を別の場所へ「迂回」させる。いわゆる先取り貯蓄です。残ったお金で暮らす仕組みにすれば、意志の強さに頼らなくてすみます。 ② 資産運用は「自転車の運転」と考える 自転車は、本を読んだだけでは乗れません。最初は転びます。でも一度乗れるようになれば、一生忘れない。運用も同じで、小さく始めて体で覚えるものだ、という考え方です。 7か条にはほかにも、「お金に働いてもらうことをポジティブにとらえる」「投資の本当のリスクを知り、コントロールする」といった項目が並びます。リスクはゼロにするものではなく、正体を知って手なずけるもの——この姿勢が本書全体を貫いています。 ポイント6:「失敗から学ぶ」より「成功から学ぶ」 「失敗は成功のもと」とよく言われますが、著者の考え方は少しちがいます。 失敗を避けるノウハウと、成功するノウハウは、別物だからです。 失敗をいくら分析しても、それは「やってはいけないこと」のリストが増えるだけ。実際にうまくいっている人のやり方を聞いて、まねをするほうがずっと近道だ、と本書は言います。 部活でも、ケガの原因を研究するより、うまい先輩のフォームを見よう見まねでコピーするほうが上達が早い——そんな感覚に近いかもしれません。ただし、まねる相手は自分が行きたい場所に実際にたどり着いた人を選ぶこと。SNSにあふれる成功談を見分ける目だけは、自分で育てる必要があります。 ポイント7:「FIREの5倍ラク」の根拠と、その注意点 本書のタイトルにもなっている「進化版FIRE」。著者はパラレルインカムを「FIREの5倍ラク」と表現します。 その根拠が、この対比です。 年400万円を得るために必要な元手 FIREの「4%ルール」 1億円 不動産の「20%ルール」 2,000万円 金額が5分の1になるから「5倍ラク」というわけです。本書が資産所得の手段として不動産投資をすすめているのは、この効率の良さが理由です。 ただし、ここは正直に書いておきます。この計算は、借入(ローン)を使うことが前提です。空室、修繕、災害、金利の上昇といったリスクもあり、株式のインデックス投資とくらべて、必要な知識と手間は明らかに多くなります。 「5倍ラク」は「5倍かんたん」ではない。この点については、記事の後半で、実際に賃貸経営をしている立場から詳しくお話しします。 ポイント8:最後に手に入るのは「5つの自由」 では、これだけの手間をかけて、何が手に入るのか。本書は5つを挙げています。 ...

August 6, 2026

二軒目は、意図して買いに行った——松戸・築古戸建、オーナーチェンジ購入記

お金と僕の12年戦争・第14話 前回は、一軒目・高砂のペンシルハウスの運営のリアルをお話ししました。今回は二軒目、松戸の築古戸建です。こちらは高砂とはまったく事情が異なります。入居者様がいる状態の物件を「オーナーチェンジ」というかたちで購入した——つまり、初めて自分の意思で「買いに行った」投資物件。その購入までの1年間のストーリーを、たっぷりとお話しします。 「もう1軒持ちたい」が、抑えられなくなった 建て替えた自宅を、住み替えを機に賃貸に出し、いつの間にか大家になっていた——というのが1軒目でした。給料とは別に収入が入ってくる精神的な安心感と、現実のキャッシュフローの増加は、わが家の家計にとても貢献してくれることとなりました。 その成功体験もあり、またリベ大YouTubeの「不動産投資」に関する動画を何回も繰り返し視聴するうちに、どうしてももう1軒、投資物件を持ちたいという思いが、抑えられないくらい膨らんでしまいました。 そうなると、動き出さずにはいられない私です。リベ大以外の「築古戸建投資」を扱ったYouTubeを、かたっぱしから探し出しては視聴しまくりました。同時に不動産投資関連の書籍も数冊購入して、知識を蓄えていきました。そのころ頭の中は「どうしたらよい物件を見つけ出せるのだろうか」で、ほとんどを占めていましたね(笑)。 私が決めた、購入物件5つの条件 知識を蓄えながら、ネットの不動産サイト——at home、SUUMO、楽待——を、毎日時間の許す限り見まくっていました。そして、購入物件の条件として私が決めたのが、次の5つです。 自宅から私が走って行ける距離(笑)。何かあればすぐ駆けつけられること。 土地所有権の築古戸建。建物価値はほぼ0になっているだろうから、できるだけ土地値と購入価格の差が小さい物件。 現金一括購入するため、予算は800万円。 最寄り駅からは、できれば徒歩20分以内。 物件所在地周辺の環境として、学校やスーパー、クリニックなど子育てしやすそうなエリア。 条件②の考え方:土地値に近い価格で買えれば、建物の価値がゼロでも、最悪土地として売却すれば大きく損をしない——という「守り」の発想です。この「土地値に近い価格で買う」という判断が本当に正しかったのか。それは後の回で、ある形で答え合わせをすることになります。 「あぁ~また売れちゃった」を、4、5ヶ月 こうして絞り込んでいったのですが、なかなか最初の頃は、「いいな」と思っても業者へ連絡を入れて内覧の希望を伝えることができませんでした。そうこうしている間に、そういった物件は消えていっちゃうんです。「あぁ~また売れちゃった」なんてことを、4、5ヶ月くらいやってましたね。 それでも、私が「いいな」と思った物件が売れていくということは、物件選びでそれほどトンチンカンではなさそうだ——と妙な自信が付き、そこからは気になった物件を見つけるとどんどんメールや電話で連絡を入れ、内覧の申し込みをしていきました。 最初は内覧しても、何を聞いたらいいのか、どこを観たらいいのか、ちんぷんかんぷんでした。でもそれも、数をこなしていくうちに業者とのやり取りに慣れてきましたね。 そして出会った、松戸の築古戸建 この物件は『楽待』で見つけました。780万円で掲載されていて、土地値を路線価図から求めてみたのですが……正直、その計算が妥当だったかは怪しいです(笑)。それでも、条件と価格を見て「これだ」と思いました。 入居者の状況は、業者から資料を見せてもらいました。子ども4人の6人家族とのこと。利回りは表面利回り10%です。 項目 内容 所在 千葉県松戸市 築年月 昭和52年(1977年)11月/築約48年 構造・屋根 木造瓦葺2階建て 延床面積 60.14㎡(1階34.22㎡+2階25.92㎡)/約18〜19坪 間取り 3DK 最寄り駅 JR常磐線・松戸駅 徒歩約21分(約1.5km) 購入価格 7,800,000円(現金一括) 引き継いだ賃料 65,000円/月 表面利回り 10% この物件はオーナーチェンジ物件だったため、内覧はできませんでした。ふつうなら、中を見られないのは大きな不安材料です。ところが今回は、売主が今回の仲介業者そのもので、入居前に行ったリフォーム工事もこの業者が発注していたため、行われた工事の様子を写真付きで詳しく残してくれていました。納得のいく説明をいただけたことで、購入に前向きになれたのです。 そうなると、むしろすでに入居者がついているオーナーチェンジ物件は、安心感があったとすら言えます。買った瞬間から家賃が入ってくるわけですから。 買い付けから決済まで——初めてづくしの契約手続き まずは買付証明書を提出しました。競合はおらず、指値(値引き交渉)は入れず、満額の780万円で申し込みました。この買付証明書を出すときは、かなりドキドキしましたね。なにしろ、これまでの生涯で現金で買い物をする、最高金額の買い物ですから。 契約日当日は、雨が降っていました。売主である不動産業者の店舗で契約を行うことになっていたので、店舗の扉を開けるときには心臓がバクバクしていました。手付金は70万円を現金で用意しました。 契約ではさまざまな説明を受けましたが、事前に書籍などで知識を蓄えておいたおかげで、契約そのものは落ち着いて臨むことができました。ここでも、前回の高砂での教訓——「理解していない契約は結ばない」——が生きていたのだと思います。 契約後は、決済日(引き渡し日)に合わせた火災保険の契約が必要と考え、数社から見積もりを取って決めました。考え方は**「シンプルで必要最小限」**。過剰な補償はつけず、守るべきところを守る内容にしました。 火災保険の内容 設定 契約期間 5年間 保険料 13,550円/年 保険金額 1,100万円 火災・落雷・破裂・爆発 1,100万円(庭木・屋外設備は1事故100万円まで) 風災・雹災・雪災 1,100万円(庭木・屋外設備は1事故100万円まで) 地震保険 加入せず そして決済です。登記代行手数料として、現金で168,190円を司法書士へお支払いしました。また、営業費として106,032円を、売主でもある不動産業者へお支払いしています(この費目の詳しい説明は必ず受けたと思うのですが、正直、内容を忘れてしまいました……)。なお、仲介手数料は発生しませんでした。売主である不動産業者からの直接購入だったためです。 ...

July 10, 2026

大家業、はじめの一歩——「売りますか?」に「貸します」と答えた日

お金と僕の12年戦争・第13話 前回は、二軒の戸建賃貸がわが家の家計にもたらしてくれたものについてお話ししました。今回からは、その二軒を実際にどう運営し、いまどうなっているのか——リアルな数字と現実を、包み隠さずお話しいたします。まずは一軒目、高砂のペンシルハウスから。二軒目・松戸の築古戸建は、次回たっぷりと語ります。 「売りますか?」——業者の口から「貸しますか?」は出てこない まずは高砂のペンシルハウスから。もともと居住する目的で、空き家にしていた実家(狭小地の古家)を建て替えた家です。前回お話ししたとおり、建て替え後に出産で家族が増え、手狭になった末の転居により「この家、どうするか問題」が発生しました。ちなみに住宅ローンは完済済みです。 選択肢は二つ。「売る」か「貸す」か。 迷いますよね。これまでの人生でまったく経験のない、まったく学んでもいない事柄ですから。当然、新居として購入した建売物件を販売した業者の担当者は言います。 「いままで住んでいた家をどうなさいますか?」 「売りますか?」「売りますか?」「売りますか?」…… 「貸しますか?」は、ありませんでしたね(笑)。 売却金額のことを抜きに考えれば、私の手間としては、担当者に「売ります」と告げて任せてしまうのが一番楽な方法だったと思います。 結局、決断の決め手になったのは感情の部分——「両親が私に遺してくれた家」ということでした。不安は山積みでしたが、「貸す」を選択しました。担当者にとってはまさかの回答だったのか、ちょっとビックリした様子で聞き直していました(笑)。 理解していない契約を、結んではいけない 「貸す」と決めたはいいのですが、その先どう進めたらいいのかがわかりません。とりあえず担当者が「賃貸部門の者をご紹介いたします」と言うので、お願いすることにしました。 賃貸部門の担当者との面談では、こちらは当然の素人ですから、出てくる言葉の意味はわからないし、その条件が私にとって都合が良いのか、業者にとって都合が良いのか、まったく判断がつきませんでした。結局いろいろと説明を受けて、3ヶ月を求められたところを、2ヶ月の「専属専任媒介契約」を結びました。 この契約が良かったか悪かったかは別にして、理解していない契約を締結することは、絶対にしてはいけません。いまなら断言できます。 リフォーム? 壁紙? ——まずはクリーニングだけで勝負 そこからの私の行動です。賃貸に出すにはリフォームは必要なのか。壁紙は交換すべきか。クリーニングだけでいいのか。わからないことだらけで、担当者に聞いたのだと思うのですが、正直、記憶がありません。結局、築6年くらいだったので、まずはクリーニングのみで対応することにしました。 クリーニング業者は、担当者に頼らず私が自分で探しました。たまたま路線バスを運行していて目に留まった、墨田区に店を構える「ベンリー」というフランチャイズの業者さん。以前に縦型洗濯機の洗浄を依頼したことがあり、とても丁寧に仕事をしていただいたことを思い出して、問い合わせてみました。 戸建て一軒丸ごとの清掃依頼を受けるのは初めてだとおっしゃっていましたが、快く引き受けてくださり、3階建てにもかかわらず7万円という価格で請け負っていただきました。2日間まるまる作業していただき、場所によっては応援の方が入ってくれるなど、本当に丁寧な仕事ぶり。特にキッチンまわりのコンロと換気扇は、さすがプロと唸らされる仕上がりでした。 家賃設定の壁——「貸したい家賃」と「相場の家賃」 家賃の設定は難しかったですね。心情的に貸したい家賃と、地域相場からの家賃には開きがありましたから、募集当初は相場よりも少し高めの110,000円という設定となってしまい、募集開始から1週間ほどは内覧希望や問い合わせなどの動きがほとんどありませんでした。 そこで地域相場に合わせて100,000円に引き下げたところから問い合わせが入るようになってきたようですが、成約には至らず、2ヶ月間の「専属専任媒介契約」は終了しました。 私もこの2ヶ月間でいろいろ学びました。契約延長の依頼はありましたがお断りして、最寄りの高砂駅と隣の青戸駅にあった数軒の賃貸仲介会社と「一般媒介契約」を結んで依頼することにしました。これも初めての経験でしたので、ドキドキしました。 このとき私は、家賃をさらに92,000円まで引き下げました。正直、地域相場よりも少し安いところです。しかし2ヶ月間の空振りを経て、「高く貸す」よりも「早く決める」——スピード優先の方針に切り替えたのです。空室のままでは、家賃は1円も入ってきませんから。 結果——依頼から10日ほどで、青戸駅近くの賃貸仲介会社が入居者を決めてくれました。 成約条件 内容 募集家賃の推移 110,000円 → 100,000円 → 92,000円 成約家賃 92,000円/月(相場よりやや安め・スピード優先) 敷金 1ヶ月分 礼金 なし 仲介手数料(大家負担) 家賃1ヶ月分 ※ハウスクリーニング費用:70,000円(3階建て一軒丸ごと・2日間作業) 初めての家賃入金——給料ではない、自分で稼いだ所得 正式に契約書に署名捺印をして、最初の家賃の入金が確認できたときの喜びは、一生忘れることはないと思います。給料として受け取る以外の、本当の意味で自分自身で稼ぎ出した所得ですからね。格別なものでした。 管理はどうする?——月5,060円の委託を断り、「勉強」の自主管理へ ここで管理について触れておきます。入居者様が決まった際、仲介業者から管理を請け負いたい旨の営業がありました。管理費用は毎月家賃の5%。つまり92,000円ですから4,600円、消費税460円を加えて月5,060円です。 管理の内容をうかがうと、家賃の入金確認と、未入金の場合の督促が主な業務ということでした。私にとっては一軒だけですし、初めてのことなので「勉強」のつもりで自主管理を申し出ました。 退去と入居を繰り返して、現在へ 最初の入居者様が決まった後は、幾度か退去と入居を繰り返しながら現在に至ります。幸いにも、退去の申し入れを受けて募集を開始すると、まだ入居者様がいて内覧できない状況にもかかわらず、次の入居者様が決まる——というありがたい流れで来ております。 とはいえ、退去があれば原状回復のためのリフォーム工事は必要になりますし、外壁塗装工事もおこないました。 外壁塗装——1年待ったら、10万円値上がりしていた 外壁塗装工事は2022年12月に行い、費用は850,000円でした。 実はその約1年前、2021年11月に4社から相見積もりをとっていました。当時はまだ入居者様がおられたので、すぐに工事をするつもりではなく、準備として相場感をつかんでおきたかったのです。使用塗料・工事内容・金額を考慮して、この時点で1社を選んでいました。 そして2022年、11月末での退去が決まったのを機に、工事の決行を決断。あらためて同じ業者から見積もりを取ったところ——塗料などの材料費の値上げと人件費の高騰で、2021年11月時点では750,000円だった見積額が、100,000円値上がりしていたのです。 時期 見積額 2021年11月(入居中に準備の相見積もり・4社から1社選定) 750,000円 2022年12月(退去を機に工事決行・同じ1社) 850,000円(+100,000円) 2026年の現在は、さらに値上がりしているでしょうね。 ...

July 5, 2026

二軒の戸建がくれた、もう一本の柱

お金と僕の12年戦争・第12話 給与という一本足から、給与と家賃の二本柱へ。会社員である私に、家賃という新しい収入源——私自身は「不動産賃貸事業」と捉えています——が加わったこと。それは「収入が増えた」という以上に、私の人生を静かに、けれど確かに変えてくれました。 父が遺してくれた家を、私は空き家にしていた 私は葛飾区高砂で生まれ育ちました。両親は「なんとか自分たちの城を持ちたい」と頑張り、高砂に所有権11.26坪(約37.22㎡)という、狭小と呼ぶしかない土地と、そこに建つ木造2階建ての家を手に入れます。父は、その家を長男である私に遺したいと考えていたようです。 ところが私自身は、結婚を機に賃貸住宅での暮らしをスタートさせました。やがて父が亡くなり、母は埼玉県川越市に嫁いだ妹の家族のもとで暮らすようになります。こうして、私が育ったあの家は「空き家」になりました。 両親が遺してくれた家なのに、当時の私は「賃貸のほうが気が楽だ」と、空き家のまま放っておいたのです。どうにかしなければ、という思いは頭の隅にありながら——その状態が、10年ほど続きました。(父さん、ごめん。) 妻のひと言から、ペンシルハウスが建った 転機をくれたのは、妻でした。当時、私たちは9歳の長男を含む3人家族。ある日、妻が「実家を建て替えて住めないかな?」と切り出したのです。 ただ、敷地はわずか11.26坪。あまりに狭く、積極的に手を挙げてくれる工務店はなかなか見つかりませんでした。それでもどうにか引き受け先を見つけ、2008年8月、狭い土地を縦に使い切るように、木造3階建て・延床面積59.58㎡の、いわゆる「ペンシルハウス」が完成します。空き家だった実家は、こうしてようやく、家族の住む家として生まれ変わりました。 家族が増え、家が手狭になった 「3人家族なら、狭小住宅でも住んでいける」——そう考えての建て替えでした。ところが工事のさなかに妻の妊娠がわかり、「4人ならまだ大丈夫だろう」と新居に移ったときには、すでに4人家族。さらにその後、3人目の妊娠がわかり、無事に生まれて5人家族になると、さすがにこの家では狭すぎる、ということになりました。 そこで向かったのが、住み替えです。「今より子どもたちの小学校に近く、しかも高砂駅にも近い場所」という、なかなか難しい条件でしたが、運にも恵まれて良い家に出会えました。2014年6月、敷地64.32㎡・木造3階建て・延床面積102.54㎡の新築建売戸建を購入し、転居します。今でも本当に満足している我が家です。 (余談ですが、この家に移ってから妻はさらに二人の男の子を産んでくれ、我が家は4男1女、5人の子宝に恵まれました。) 住む家が「貸す家」になった、一軒目 そして高砂のペンシルハウスは、私たちが住み替えたその日を境に、「自分たちが住む家」から「人に貸す家」へと役割を変えました。これが、私の戸建賃貸業の一軒目です。 貸すために建てた家ではありません。父が遺し、妻の言葉で建て替え、家族で暮らし、そして手狭になって離れた——その積み重ねの結果として、気づけば私は大家になっていました。父に申し訳なかったあの空き家が、いまは家賃という形で家計を支えてくれている。そう思うと、少しだけ肩の荷が下りた気がします。 リベ大が背中を押した、二軒目 二軒目は、まったく違いました。 リベ大(両学長)の教えと『お金の大学』に出会い、「昇給を待つのではなく、収入を生む資産を自分で買う」という発想を知った私は、2022年1月、松戸市に敷地60.98㎡・木造2階建て・築48年の投資用築古戸建を購入しました。 築48年という数字に驚く方もいるかもしれません。けれど、リベ大で学んだ築古戸建投資の考え方に沿って、自分なりに数字を確かめ、納得して選んだ一軒でした。一軒目が「気づいたら大家」だとすれば、二軒目は「意志を持って買った大家」です。 ここで、二軒(と現在の自宅)を一覧にしておきます。 役割 取得・完成 所在地 敷地 構造・延床 一軒目(賃貸・旧自宅) 2008年8月 完成 葛飾区高砂 11.26坪(約37.22㎡) 木造3階建/延床 59.58㎡ (参考)現在の自宅 2014年6月 購入 高砂駅 近く 64.32㎡ 木造3階建/延床 102.54㎡ 二軒目(賃貸・投資用) 2022年1月 購入 松戸市 60.98㎡ 木造2階建/築48年 ※「現在の自宅」は賃貸物件ではありませんが、一軒目が賃貸へ切り替わった転機として参考に併記しています。 給与一本足から、二本柱へ ── 金銭面 会社員の収入は、基本的に給与とボーナスという一本足です。給与は生活費、ボーナスは臨時収入。シンプルですが、その一本が細れば、家計はそのまま揺らぎます。 そこに家賃収入が加わると、給与と家賃の二本柱になります。勤務先で残業が減った月でも、家賃は比較的安定して入ってくる。この「もう一本」があるだけで、家計の安定感はずいぶん変わりました。 大きいのは、昇給に依存しなくてよくなったことです。給与は毎年、数千円から数万円上がればいいほう。けれど中古戸建を一軒持てば、年間で数十万円、物件によっては100万円以上のキャッシュフローが見込めることもあります。「昇給を待つ」のではなく「資産を買って収入を増やす」。この発想の転換こそ、リベ大から受け取った一番の財産かもしれません。 ...

June 29, 2026

住宅ローンという名の長期戦――借り換えと、金利上昇を前にした今の心境

お金と僕の12年戦争・第6話 はじめに――4人家族から始まった住み替え 2014年5月。当時住んでいた東京都葛飾区の持ち家は床面積60㎡で、ローンのない状態だった。結婚してから子どもが生まれ、4人家族となったことで少しずつ手狭さを感じるようになっていた。家自体に不満があったわけではない。ただ毎日の生活の中で、子どもたちが動き回るたびに、この家の限界を感じる場面が増えていった。 そこで同じ葛飾区の高砂に新築戸建てを購入することにした。京成線 高砂駅北口から徒歩5分、床面積102㎡。購入価格は4,070万円。手元の資金から470万円を頭金として用意し、残る3,600万円を34年ローンで借り入れた。60㎡から102㎡への住み替えは、私たち家族にとって大きな決断だったが、後悔はしていない。その後子どもはさらに増え、現在は6人家族となった。広さを求めた判断は、結果的に正しかった。 当時選んだのは変動金利0.975%。借入先はメガバンクで、月々の返済額は103,702円だった。 東京の住宅街。2014年、私たちは60㎡から102㎡への住み替えを決断した。(Photo: Syced / CC0) 購入時のローン概要 項目 内容 購入物件 新築戸建て 東京都葛飾区高砂(102㎡) 最寄り駅 京成線 高砂駅北口 徒歩5分 購入価格 40,700,000円 頭金 4,700,000円 借入額 36,000,000円 金融機関 メガバンク 金利タイプ 変動金利 0.975% 返済期間 34年 月々の返済額 103,702円 なお、2014年という購入タイミングは、今振り返れば首都圏の不動産価格がまだ比較的割安だった時期にあたる。このエリアで駅徒歩5分・100㎡超の戸建てというのは、現在ではなかなか見当たらない。縁があってこの家に出会えたことは、純粋に幸運だったと感じている。 当時の私のお金に対する知識は、お世辞にも豊かとは言えなかった。FXを本気で「投資」だと思い、ドル建て一時払い終身保険を心から「良い商品」だと信じていた時期だ。住宅ローンも「変動か固定か」という入り口の議論はしたものの、深く考え抜いたというよりは、当時の金利水準から直感的に変動を選んだというのが正直なところだった。リベ大に出会うのは、この購入から6年後の2020年のことになる。 借り換えを決意するまで――ネット銀行の壁 借り換えを意識し始めたのは2017年のことだ。まだリベ大とは出会っておらず、当時は漠然と「住宅ローン金利はまだ下がりそうだ」という感覚があった。周囲でも借り換えの話題が出ていたし、少しでも金利を下げられるなら動くべきだと考えた。 まず手をつけたのは、金利の低いネット銀行への申し込みだった。当時すでにネット銀行の住宅ローン金利は店舗型金融機関より明確に低く、まず金利の低い順に片っ端から仮審査を申し込んでいった。結果は――すべての仮審査で「通過」の連絡が来た。ここで気を良くしたのがいけなかった。本審査に進むと、どの銀行でも揃って「申し込み融資金額の減額」を条件として提示してきた。事実上の否決である。 ネット銀行の「仮審査通過」は、従来型の店舗型金融機関の仮審査通過とは、まったくの別物だった。 店舗型の金融機関では、仮審査が通れば基本的に本審査も通るという感覚がある。仮審査の段階である程度の精度でスクリーニングしているからだ。しかしネット銀行は違った。仮審査は本当に「仮」であり、精度の低い入り口に過ぎなかった。私のケースでは複数のネット銀行すべてで同じ結果となり、時間と手間だけが過ぎていった。この経験は後々まで、私の中に「ネット銀行の仮審査を過信してはいけない」という教訓として残っている。 ネット銀行での借り換えを諦めた後、ふと思い出したのが職場に出入りしていた中央労働金庫の担当者だった。相談してみると、変動金利0.625%での借り換えが可能とのことだった。当初の0.975%からの▲0.350ポイントの引き下げだ。借り換えを決断した。 金融政策の司令塔・日本銀行。長年続いたゼロ金利政策が、2025年に動き始めた。(Photo: Suicasmo / CC BY-SA 4.0) 借り換え前後の比較 項目 借り換え前(メガバンク) 借り換え後(中央労働金庫) 適用金利 0.975% 0.625% 月々の返済額 103,702円 100,203円 月々の削減額 ― 約3,500円 項目 内容 借り換え実行日 2018年2月23日 借り換え時の残債 32,723,037円 借り換え融資額 33,300,000円 借り換えにかかった諸費用 576,963円 新たな返済期間 30年5か月 諸費用576,963円を月々の削減額約3,500円で割ると、元が取れるまでには約165か月、つまり約13年8か月かかる計算になる。単純な数字だけを見れば、借り換えの「お得感」は決して大きくない。それでも残債が大きく返済期間が長い局面での0.35ポイントの差は、長期にわたる利息負担に確実に影響する。判断は間違っていなかったと思っている。 ...

May 21, 2026

変動金利ローン、金利が上がったらどうなる?我が家の10年の記録と、ジタバタしない理由

「変動金利は怖い」とよく言われます。2025年に入って実際に金利が上がった今、我が家がどう考え、何をしているか——具体的な数字とともに正直に書きます。結論を先に言うと、「何も変えない」ことが我が家の答えです。 我が家のローン履歴 2014年5月、メガバンクで3,600万円・変動金利0.975%・34年ローンを組みました。その後、職場に出入りしている金融機関からより好条件の提案があり、2018年2月に借り換えをしました。 時期 内容 2014年5月 メガバンクで3,600万円借り入れ/金利0.975%/返済期間34年/月返済額103,702円 2018年2月 残債3,330万円で借り換え/金利0.625%(▼0.35%)/月返済額100,203円(▼3,499円) 2025年2月 金利0.775%へ引き上げ(▲0.15%)/月返済額は変わらず100,203円(5年ルール適用中) 2025年8月〜現在 金利1.025%へ引き上げ(▲0.25%)/月返済額は引き続き100,203円(5年ルール適用中)/利息の占める割合が増加 借り換えによって月々3,499円・年間41,988円の削減に成功しました。 月返済額は変わらない。でも中身が変わっている 「5年ルール」により、金利が上がっても月返済額は5年間変わりません。我が家の返済額は現在も借り換え時と同じ 100,203円 のままです。 しかし返済額の中身——元金と利息の比率——は金利上昇とともに変化しています。 時期 月返済額 うち元金 うち利息 借り換え直後(0.625%) 100,203円 約83,000円 約17,000円 2025年2月〜(0.775%) 100,203円 約79,000円 約21,000円 現在(1.025%) 100,203円 約72,000円 約28,000円 ※残債3,330万円をもとにした概算です。 金利が上がるにつれて利息が増え、その分だけ元金の減りが遅くなっています。払っているのに残債がなかなか減らない——これが5年ルールの「見えないコスト」です。 5年ルールの実態: 表面上の返済額は変わらないため「影響がない」と感じやすいですが、利息が増えた分だけ元金の減り方が遅くなります。返済額ではなく「元金の減り」を意識することが大切です。 金利上昇に対して、我が家がしていること 2025年に2段階の金利引き上げがありました。繰り上げ返済すべきか、固定に借り換えるべきか——正直、いろいろ考えました。出した答えは、「何もしない」 です。 ただし、何も考えずに放置しているわけではありません。以下の3つの判断があってのことです。 判断① 金利上昇をそのまま受け入れる 現在の金利1.025%は、歴史的に見てまだ非常に低い水準です。日本の住宅ローン変動金利は、バブル期には8%を超えていた時期もありました。2000年代でも2〜3%台が普通でした。 「怖い」という感情はわかります。でも数字で見れば、今の金利は緊急事態ではありません。過度な対策は不要と判断しました。 判断② 「稼ぎを増やす」にコミットする 金利が上がったとき、多くの人は「支出を減らす」方向で考えます。繰り上げ返済も「ローンという支出を減らす」発想の延長線上にあります。 我が家は逆に 「収入を増やすことで対応する」 という方向を選んでいます。収入が増えれば金利上昇分など小さな話になるからです。本業・不動産・投資の3本柱で収入の多様化を進めることが、最大の金利対策だと考えています。 判断③ 投資を淡々と続ける 「繰り上げ返済vs投資」はよく議論されますが、我が家の答えはシンプルです。 住宅ローン金利(1.025%)→ 繰り上げ返済のリターン インデックス投資の長期期待リターン → 年4〜6%程度 長い目で見れば、投資を続けるほうが資産は大きくなると考えています。繰り上げ返済は「確実な1%のリターン」ですが、投資の継続は「時間という最大の武器」を活かすことです。 そして——ジタバタしない 金利上昇をそのまま受け入れ、稼ぎを増やすことにコミットしながら、投資を継続する。長期的な資産増加によって金利上昇分は吸収できると考えています。 要は、ジタバタせず何も変えず、淡々とやっていくということです。 これはあくまで我が家の判断です。家計の余裕、精神的な安心感、残りのローン年数によって正解は異なります。「ジタバタしない」が正解になるのは、判断の根拠があってのことです。 参考:金利が上がると返済額はどう変わるか 5年ごとの見直し時に金利がさらに上昇した場合の月返済額の変化(試算例)。 ...

April 26, 2026