なぜ学校では「お金の増やし方」を教えてくれないの?──山崎元『図解・最新 学校では教えてくれないお金の授業』をやさしく解説!

「お金の勉強」って、学校ではほとんど習いませんよね。計算やことわざは教わるのに、「どう貯めて、どう増やすか」は自分でなんとかするしかない——そんな不思議に正面から答えてくれるのが、この本です。 著者の山崎元(やまざき・はじめ)さんは、日本でとても有名な経済評論家。銀行・証券会社・保険会社など、お金にかかわる会社を数多く経験した「お金のプロ」です。だからこそ、ふつうは表に出てこない金融業界の“ウラ側”まで正直に書いてくれています。(山崎さんは2024年に亡くなりましたが、その教えは今も多くの人に読み継がれています。) この記事では、本の内容を中学生でもわかるように、8つのポイントにしぼって紹介します。 1. そもそもお金って何?──「自由」を広げる道具 お金がたくさんあると、行きたい場所に行けたり、やりたいことに挑戦できたりします。つまりお金は、あなたが選べる道を増やしてくれる「自由の道具」なのです。 でも、ここが大事なポイント。 お金は「手段」であって、「目的」ではない。 お金そのものを集めることがゴールになると、いくら増えても満足できません。ゲームでコインを集めるのは、強い装備を買って冒険を楽しむため。コインをただ眺めるためではありませんよね。お金も同じで、「何のために使うか」が先にあるべきなのです。 2. お金持ちへの第一歩は、投資より「自分の価値を上げる」こと 「お金を増やす」と聞くと、すぐに投資を思いうかべるかもしれません。でも山崎さんは、まず自分自身の"稼ぐ力"を高めるほうが先だと言います。 考えてみてください。1万円を投資しても、1年で増えるのはうまくいっても数百円ほど。でも、勉強やスキルをみがいて仕事の力がつけば、収入そのものが何万円も上がることがあります。 部活で、いきなり試合の作戦ばかり考えるより、まず基礎練習で実力をつけたほうが結局は強くなれますよね。お金も同じで、「元手を大きくする力」こそが最初の投資なのです。 3. 「先取り貯金」で、手取りの4分の1を自動的に残す お金が貯まらない人の多くは、「余ったら貯金しよう」と考えています。でも、余ることはめったにありません。 そこでこの本がすすめるのが「先取り(天引き)」。お金が入ったら、使う前に決まった額をよけておく方法です。目安は手取りの4分の1。残ったお金だけで生活すれば、自然とお金が貯まっていきます。 「余ったら貯める」ではなく、「先に貯めて、残りで暮らす」。 たとえば手取りが20万円の人なら、まず5万円をよけてしまい、残りの15万円で生活する。こうすれば「気づいたら全部使っていた」ということが起こりません。お小遣いをもらった瞬間に、一部をパッと貯金箱に入れてしまうのと同じイメージです。あとは残りで自由に使ってOK。順番を変えるだけで、結果は大きく変わります。 4. 銀行・証券・保険の"ウラ側"──アドバイスする人から買ってはいけない 銀行の窓口で「この商品、おすすめですよ」と言われると、つい信じたくなります。でも山崎さんは、はっきり警告します。 お金のアドバイスをくれる相手から、その商品を買ってはいけない。 なぜなら、金融機関の仕事は「お客さんから儲けること」だから。すすめられるのは、たいてい"お店がもうかる商品"であって、“あなたが得をする商品"ではないのです。 これは、ゲームの課金でいちばん高いパックをすすめてくる店員さんに似ています。相手も商売なので、あなたの財布より自分の売上を優先します。だから、「銀行はお金を増やす場所ではない」と覚えておきましょう。 山崎さんは、金融ビジネスの仕組みをこうまとめています。 お金持ちからは「手数料」を、お金のない人からは「金利」を取るのが、金融業のもうけ方。 ちょっとドキッとする言葉ですが、これを知っておくだけで、だまされにくくなります。ちなみに、銀行にただ預けるお金は、1つの銀行につき1000万円までしか完全には守られない仕組みになっています。大金を1か所に置きっぱなしにしない、というのも大事な知恵です。 5. 保険は「損な賭け」──入っていいのは"めったに起きないけど超困る"ことだけ 保険は「安心を買うもの」と思われがちですが、山崎さんは冷静に指摘します。保険会社は、集めたお金よりも少ない額しか払い戻しません。そうしないと会社がつぶれてしまうからです。つまり、平均すると保険は「入る人が損をする賭け」なのです。 保険は「損な賭け」であることを知る。 では、入る意味はないの?というと、そうではありません。「めったに起きないけれど、起きたら人生が壊れるほど困ること」だけは、保険で備える価値があります。 たとえるなら、ガチャは平均すると損だから回さないほうがいい。でも、「家が火事になったら何千万円もかかる」ような、超レアで超ピンチな事態だけは保険でカバーする——そんな使い分けが正解です。 6. 「水増しされた利回り」にだまされない──数字は正しく比べる 投資商品には「利回り〇%!」という数字がよく登場します。でも、その数字は見せ方でよく見せかけられている(水増しされている)ことがあります。 たとえば「毎月お金がもらえる投資信託」。一見おトクに見えますが、実は自分が預けたお金を少しずつ返しているだけ、というケースもあります。うれしい"利益"に見えて、中身は"元本の払い戻し"だったりするのです。 テストで「平均80点!」と言われても、得意な教科だけで計算していたら意味がないのと同じ。数字は「同じ条件でそろえて、正しく比べる」ことが大切です。うまい話ほど、いったん立ち止まって中身を確かめましょう。 そして、利回りで考えると見えてくる意外な正解があります。それは、もし借金があるなら、投資より先に返すこと。借金の利息は、投資でめざす利回りよりずっと高いことが多いからです。借金を返すのは、じつは“確実に増える最強の投資”とも言えるのです。 7. 投資はシンプルでいい──世界にまるごと分散して、長く持つ 「投資はむずかしそう」と思うかもしれませんが、この本の答えはとてもシンプルです。世界中の会社にまとめて少しずつ投資して、あとは長く持ち続ける。基本はこれだけ。 1社の株だけを買うのは、1つのチームに全部かけるようなもの。負けたら大ダメージです。でも、いろんな会社が入った「詰め合わせ(インデックス投資信託)」なら、どこかがダメでも別のどこかが伸びて、全体でならされます。おかしの詰め合わせパックと同じで、まるごと持てば当たりはずれのブレが小さくなるのです。 そして、投資をするならNISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)という"税金がかからない特別な箱”を使うのがおトク。ふたつはこう使い分けます。 NISA:いつでも引き出せる、自由度の高い箱。ふだんの資産づくり向き。 iDeCo:原則60歳まで引き出せないかわりに、税金の割引が大きい箱。老後のための貯金向き。 「近いうちに使うかもしれないお金はNISA、老後まで手をつけないお金はiDeCo」と分けるのが基本の考え方です。 もうひとつ、山崎さんが強く言うのが「手数料(コスト)をとにかく安くする」こと。投資でどれくらい増えるかは誰にも予想できませんが、手数料だけは、自分の選び方で確実に下げられます。同じ中身なら、より安い商品を選ぶ。これが、初心者でもできる一番かしこい工夫です。 8. お金は「手段」──「どう生きたいか」が先にある 最後に、いちばん大切なこと。お金があれば不幸は避けやすくなりますが、お金だけで幸せになれるわけではない、と山崎さんは言います。 お金は、あなたの人生を助ける"道具"。主役はあくまで「あなたがどう生きたいか」。 だからこそ、テクニックを覚える前に「自分は何を大事にしたいのか」を考えることが、じつはいちばんのお金の勉強なのです。 今日からできる3つのこと お小遣いや収入の一部を、使う前に先によけておく(金額よりも「先取りの習慣」が大事) 「おすすめ」をうのみにせず、いったん中身を確かめる(相手がなぜすすめるのかを考える) お金の目的を書き出してみる(「何のために増やしたいのか」をはっきりさせる) お金の話は、じつは「どう生きたいか」の話。この本は、むずかしいテクニックではなく、一生使える"お金との付き合い方"を、やさしく教えてくれる一冊です。もっと知りたくなった人は、ぜひ本も手に取ってみてくださいね! 図表50点以上で、むずかしい言葉が苦手な人でもスラスラ読めます。私自身、五十代で投資と向き合ってきましたが、「もっと早くこの一冊に出会いたかった」と思わされました。社会に出るお子さんやお孫さんへの贈り物としても、自信を持っておすすめできる、“お金の教科書"の決定版です。 図解・最新 学校では教えてくれないお金の授業山崎元/PHP研究所。金融業界の裏側を知り尽くした経済評論家が、正しい貯め方・増やし方を図表50点以上でやさしく解説した入門書の決定版 Amazonで見る › あわせて読みたい:山崎元さんが亡くなる前、大学生の息子に遺した一冊のご紹介はこちら▼ 亡くなる前に、経済のプロが息子に伝えた「お金と人生」の話──『経済評論家の父から息子への手紙』 借金だらけの「ダメ男」が25年で2億円?──『彼はそれを「賢者の投資術」と言った』

July 27, 2026

借金だらけの「ダメ男」が、25年で2億円?──水瀬ケンイチ『彼はそれを「賢者の投資術」と言った』をやさしく解説!

「投資」と聞くと、頭のいい人がパソコンとにらめっこして、上がりそうな会社の株を当てる…そんなイメージはありませんか? でも、水瀬ケンイチさんの『彼はそれを「賢者の投資術」と言った』は、まったく逆のことを教えてくれます。 主人公は、天才でもお金持ちでもない、ごくふつうの会社員。それどころか、20代のころは貯金ゼロ、車のローンを2台分もかかえた「ダメ男」でした。 そんな人が、25年後には約2億円の資産を持つまでになります。しかも、使った方法はとてもシンプル。この記事では、その25年間の物語と教えを、中学生でもわかる言葉でまとめてみました。 ポイント1:スタートは「貯金ゼロのダメ男」 著者の水瀬さんは、IT企業ではたらくふつうの会社員です。 でも20代のころは、給料をぜんぶ使ってしまい、貯金はゼロ。車のローンまでかかえていました。「このままではやばい」と気づいたのが、すべての始まりです。 大事なのは、特別な才能があったわけではないということ。図書館を何カ所もはしごして、お金の入門書を片っぱしから10冊以上読む。そうやって、ゼロから勉強を始めただけなんです。 この本のすごいところは、25年間の資産の増え方が、金額のグラフとともにぜんぶ正直に公開されていること。うまくいった話だけでなく、失敗して落ちこんだ時期も包みかくさず書かれています。 だからこそ、「自分にはムリ」と思っている人にこそ、「ふつうの人でもできるんだ」という希望をくれるのです。 ポイント2:最初は「チャートに振り回されて」失敗した 水瀬さんも、最初から今のやり方だったわけではありません。 はじめは、株価のグラフ(チャート)とにらめっこして、「上がりそうな株」を当てようとしていました。値動きが気になって、仕事中もこっそりトイレで株価をチェックする毎日。水瀬さんは、この時期のことを「トイレ・トレーダー時代」と呼んでいます。 これ、スマホの通知が気になって、授業中でも何度もこっそり見たくなるのと似ていますよね。株価に心を支配されて、だんだん自分を見失っていったのです。 結果は、疲れるばかりでちっとも儲からない。「もっといい方法があるはずだ」と探し続けた末に、たどりついた答えが「インデックス投資」でした。遠回りしたからこそ、本物にたどりつけたというわけです。 ポイント3:答えは「詰め合わせパック」を買うこと 「インデックス投資」は、むずかしそうな名前ですが、中身はシンプルです。 ふつうの投資は、「この1社が伸びる!」と1社の株に賭けます。これは、運動会でたった1人の選手に全部を賭けるようなもの。当たれば大きいけれど、外れたらおしまいです。 いっぽうインデックス投資は、世界中の会社をまるごと「詰め合わせパック」で買うイメージ。「オルカン」と呼ばれる商品なら、たった1つ買うだけで、世界中の何千もの会社にまとめて投資できます。 だから、どれか1社がダメになっても、ほかの会社ががんばってくれるので、全体ではあまり困りません。カバンの中身をぜんぶ同じ教科書にせず、いろんな教科を入れておくようなもの。1つを忘れても、ほかで点が取れます。 しかも、毎月決まった額を自動で買っていくだけ。むずかしい予想も、特別なテクニックもいりません。これがいちばんかしこい方法だ、と水瀬さんは言います。 ポイント4:いちばん難しいのは「やめないこと」 やり方はとても簡単。でも、じつは最大の難関があります。それは「途中でやめたくなること」です。 投資の世界では、数年に一度、値段が大きく下がる「暴落」が起きます。ニュースは「大不況!」と大さわぎし、まわりの人もどんどん売り出します。自分のお金が半分になったら、こわくて「もう売っちゃおう」と思ってしまいますよね。 でも、下がったときに売るというのは、部活で一回試合に負けただけで「もうやめる」と言い出すのと同じ。しかも暴落のあとは、たいてい時間をかけて値段がもどっていきます。つまり、あわてて売る人は「一番安いときに手放す」という、いちばんもったいない行動をしているんです。 あわてて売ってしまうことこそ、いちばん大きな損につながる。 だからこそ、下がってもどっしり持ち続ける力が必要になります。 ポイント5:暴落の「予防接種」ができる本 では、どうすれば持ち続けられるのか。この本のいちばんの価値がここにあります。 水瀬さんは、2008年の「リーマンショック」という大暴落で資産が半分になってしまいました。コツコツ増やしてきたお金が、一気に消えていく恐怖。しかもインデックス投資をすすめていたので、ネットでは「ほら見たことか」と悪口の嵐にもさらされました。ものすごくつらい経験です。 でも、ここで売らずにじっとがまんして持ち続けた結果、数年後には資産はしっかり回復しました。そしてこの経験があったから、2020年の「コロナショック」で世界中がパニックになったときも、「この感じ、前にもあった。あわてて売るのが一番損だ」と冷静でいられたのです。 つまりこの本を読むと、水瀬さんの体験を借りて、暴落を疑似体験できるのです。予防接種で軽く病気を体験して本番に備えるのと同じ。だから、いざというとき慌てずにすみます。 ポイント6:「まさか」に備える貯金を残しておく 暴落のとき、いちばんやってはいけないのが「お金がなくて、しかたなく売る」こと。 たとえば急に病気やケガでお金が必要になったら、値下がりしている最悪のタイミングでも、投資を売るしかなくなります。 この本によれば、生活のための貯金を用意していない人は、最悪のタイミングで売ってしまう確率が3倍にもなるそうです。 だから、投資に回すお金とは別に、すぐ使える貯金(これを「生活防衛資金」といいます)を残しておくことが大切です。 これは、ゲームで言えば「いざというときのための回復アイテム」を持っておくようなもの。手元に余裕があれば、暴落が来ても「売らずに待つ」という正しい行動が取れます。この貯金こそが、暴落を乗りきるための「安全ネット」になるのです。 ポイント7:「なぜ続けられるのか」を知ると強い じつは、インデックス投資は理屈を知らなくても続けられます。でも、「なぜこれでいいのか」がわかると、迷わなくなるのです。 本の後半では、続けられる理由が世界中の研究データで説明されています。たとえば、 初心者の約6割が「安いときに買って高いときに売る、そのタイミングを当てるのが大事」と思っている。でも実際は、そのタイミング当てこそが成績を悪くする一番の原因だとわかっています。テストの点をねらって一夜漬けを繰り返すより、毎日少しずつ勉強したほうが伸びるのと同じです。 欲ばって「あれもこれも」とたくさんの商品を買いすぎると、かえって成績が下がってしまうこともある。あれこれ手を広げすぎると、どれも中途半端になるのと同じですね。 つまり、頭を使って賢く立ち回ろうとするより、シンプルにコツコツ続けるほうが強い。理由がわかっていれば、まわりの「今が売りどきだ!」といった雑音にも振り回されなくなります。 ポイント8:タイトルの「彼」ってだれ? 最後に、タイトルの「彼」とはだれのことでしょう。 それは、経済評論家の山崎元(やまざき・はじめ)さん。水瀬さんと本を一緒に書いた仲間で、残念ながら亡くなってしまいました。 山崎さんは、「手数料の高い商品を売りたい」金融業界からきらわれることもいとわず、ふつうの人の味方になって「本当に正しいこと」を言い続けた人です。むかしの日本では、「市場全体と同じくらいの成績で満足する」というインデックス投資の考え方は、ほとんど理解されませんでした。それが今、「投資はまずインデックスから」と当たり前に言われるようになったのは、水瀬さんや山崎さんのような人たちが地道に伝え続けてくれたおかげなのです。 この本は、インデックス投資の教科書であると同時に、そんな山崎さんへの「ありがとう」の手紙でもあるのです。 まとめ:今日からできる3つのこと 『彼はそれを「賢者の投資術」と言った』の教えを、中学生の生活に置きかえるとこうなります。 少しずつ「続ける」練習をする(勉強でも運動でも、一発逆転より毎日コツコツが勝つ) 「まさか」に備えて、使わないお金を少し残しておく(お小遣いを全部は使いきらない) 一回の失敗であわてない(下がってもやめない人が、最後に笑う) 投資の本当のコツは、頭の良さでも運でもなく、「やめずに続ける心」。この本は、その心の育て方を、25年分の実話で教えてくれます。気になった人は、ぜひ本も読んでみてください! 私自身、5人の子を育てながらインデックス投資を続けてきた身として、この本の「ふつうの人が、遠回りしながらたどり着いた」という語り口には、ひとつひとつ深くうなずかされました。同じ著者を悼む一冊として、先日ご紹介した山崎元さんの『経済評論家の父から息子への手紙』とあわせて読むと、より胸に迫ります。これから投資を始める方の、最初の一冊にもおすすめです。 彼はそれを「賢者の投資術」と言った水瀬ケンイチ/Gakken。貯金ゼロのダメ男が25年で約2億円。インデックス投資の全記録を、グラフとともに正直に公開した実話 Amazonで見る › あわせて読みたい:インデックス投資の考え方を学べる一冊はこちら▼ 「安くなってから買おう」は、なぜ損なのか?──『JUST KEEP BUYING』をやさしく解説! お金持ちになるのに「頭の良さ」はいらない?──『サイコロジー・オブ・マネー』をやさしく解説!

July 26, 2026

亡くなる前に、経済のプロが息子に伝えた「お金と人生」の話──『経済評論家の父から息子への手紙』をやさしく解説!

もし、お父さんやお母さんが「人生で本当に大事なこと」を手紙に書いて残してくれたら、みなさんは読んでみたいですか? 『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて』(山崎元・著)は、まさにそんな一冊です。 著者の山崎元(やまざき・はじめ)さんは、日本を代表する経済評論家。テレビや本で「お金の正しい増やし方」をわかりやすく教えてくれる人気者でしたが、がんと闘いながら、2024年1月1日に65歳で亡くなりました。 この本は、山崎さんが大学生になった息子さんへ、人生の最後に「どうしても伝えたいこと」を書き残したもの。実際に息子さんへ送った手紙も、そのまま全文のっています。 「お金の心配をせず、自由に気分よく生きていくために」――経済のプロが命をかけて残したメッセージを、中学生でもわかる言葉でまとめてみました。 ポイント1:お金は「目的」じゃなくて「道具」 まず、この本のいちばん土台になる考え方から。 山崎さんは、お金そのものを人生の目的にしてはいけないと言います。お金は、自由に、気分よく生きるための「道具」にすぎないからです。 お金があると、 やりたくないことを「やらない」と選べる 困ったときにあわてずにすむ 自分の好きなことに時間を使える つまり、お金の本当の役割は「自由を守ること」。ゲームで例えるなら、お金は高得点そのものではなく、自分の好きなルートを選ぶための「アイテム」なんです。アイテム集めに夢中になって、肝心の冒険を楽しめなかったら本末転倒ですよね。 ポイント2:お金持ちになる人は「リスクを取る側」にいる では、世の中でお金持ちになるのはどんな人でしょう? 山崎さんの答えはハッキリしています。「リスクを取って、株式のように働いた人」です。 働き方には、大きく2つのタイプがあります。 利息タイプ:決められた仕事をして、決められた給料をもらう(安定しているけど、大きくは増えない) 株式タイプ:うまくいくか分からないことに挑戦して、成功したら大きな見返りを得る 会社を作った人や、新しいことに挑戦した人が大金持ちになるのは、この「株式タイプ」の働き方をしているから。もちろん失敗することもあります。でも、若いうちの失敗は取り返しがつく。だからこそ山崎さんは息子さんに「リスクを取ることを恐れるな」と伝えています。 部活で例えるなら、レギュラー争いに手を挙げない人に、活躍のチャンスは回ってきません。挑戦しないことこそが、じつはいちばんのリスクなんです。 ポイント3:「モテる人」になりなさい 意外なアドバイスがこれ。山崎さんは「モテることが大事だ」と大まじめに書いています。 といっても、恋愛の話だけではありません。ここでいう「モテる」とは、「この人と一緒に働きたい」「この人に仕事を頼みたい」と思われる魅力のこと。 約束を守る 機嫌よくいる 人の悪口を言わない 自分の得意なことで人の役に立つ 仕事もチャンスも、結局は「人」が運んできてくれます。だから、勉強やスキルと同じくらい、人としての魅力=人材価値を高めることが、将来の武器になるのです。クラスで「あの人と同じ班になりたい」と思われる人を想像すると、わかりやすいかもしれません。 ポイント4:過去の損は忘れていい――「サンクコスト」の話 ゲームに課金しすぎて「ここでやめたらもったいない」と、さらに課金してしまった……。そんな経験はありませんか? すでに払ってしまって、もう取り返せないお金や時間のことを「サンクコスト(埋没費用)」と言います。 山崎さんの教えはシンプルです。「過去に払ったものは、これからの判断に関係させるな」。 考えるべきは「今までいくら使ったか」ではなく、「これから先、続ける価値があるか」だけ。映画がつまらなかったら、チケット代を払っていても途中で出ていい。合わない習い事は、道具をそろえた後でもやめていい。 過去を悔やむより、未来のために判断する。これはお金だけでなく、人生全部に使える考え方です。 ポイント5:お金の増やし方は、たった1行で終わり 経済評論家として何十年も活躍した山崎さんが、最後にたどりついた「お金の増やし方の正解」は、拍子抜けするほどシンプルです。 「稼いで、貯めて、余ったお金は全世界の株にまるごと投資して、あとはほったらかし」 これだけ。世界中の会社の株を少しずつまとめ買いできる「全世界株式インデックスファンド」という商品を、手数料の安いものでコツコツ買い続ける。売ったり買ったりを繰り返す必要はありません。 そして、もうひとつ大事な警告があります。 銀行や証券会社の窓口で勧められる商品は、買ってはいけない。 なぜなら、向こうが熱心に勧めてくる商品ほど、手数料が高くて売る側が儲かる仕組みになっているから。「親切そうなプロ」ほど疑えというのは、プロ中のプロだった山崎さんだからこそ言える、重みのある言葉です。 ポイント6:「転職できる自分」でいることが最強の保険 山崎さんは、なんと人生で12回も転職した人です。ふつうの会社員としてはかなり珍しい経歴ですが、だからこそ言えるアドバイスがあります。 「ひとつの会社にしがみつかなくていい。ただし、いつでも転職できる自分でいなさい」 会社が絶対につぶれない保証はないし、上司や仕事が合わないこともあります。そのときに「ここを辞めたら生きていけない」と思っていると、嫌なことにもノーと言えなくなってしまう。逆に「自分はよそでも通用する」という自信があれば、堂々と働けます。 そのために大事なのが、若いうちに自分の「得意分野」を作っておくこと。山崎さんは「28歳までに自分の専門の軸を決めるといい」と具体的な目安まで示しています。中学生のみなさんなら、まずは「好きで、ついつい時間を使ってしまうこと」を大切にするところからで十分。それが将来の専門分野のタネになります。 ポイント7:仲間とは「気持ちよく」付き合う。お酒の飲み方まで この本のユニークなところは、「お酒の飲み方」まで手紙に書いてあることです。人生の最後に息子へ伝えることとして、わざわざお酒の話を選ぶなんて、ちょっと面白いですよね。 でも中身は、大人になる前に知っておいて損のない話です。 お酒は楽しく飲むもので、つらさをごまかす道具にしない 飲みの席での失敗は、積み上げた信用を一晩で壊すことがある 相手に無理に飲ませない。自分も無理をしない つまりこれは、お酒の話の形をした「仲間との付き合い方」の話なんです。友だちとの関係も同じで、ノリに流されて誰かを傷つけたり、無理をして自分をすり減らしたりしたら、長い目で見て必ず損をします。 山崎さんは、お金と同じくらい「気分よく付き合える仲間」を人生の財産だと考えていました。実際、闘病中の山崎さんを支えたのも、お金ではなく仲間だったそうです。 ...

July 18, 2026

二軒目は、意図して買いに行った——松戸・築古戸建、オーナーチェンジ購入記

お金と僕の12年戦争・第14話 前回は、一軒目・高砂のペンシルハウスの運営のリアルをお話ししました。今回は二軒目、松戸の築古戸建です。こちらは高砂とはまったく事情が異なります。入居者様がいる状態の物件を「オーナーチェンジ」というかたちで購入した——つまり、初めて自分の意思で「買いに行った」投資物件。その購入までの1年間のストーリーを、たっぷりとお話しします。 「もう1軒持ちたい」が、抑えられなくなった 建て替えた自宅を、住み替えを機に賃貸に出し、いつの間にか大家になっていた——というのが1軒目でした。給料とは別に収入が入ってくる精神的な安心感と、現実のキャッシュフローの増加は、わが家の家計にとても貢献してくれることとなりました。 その成功体験もあり、またリベ大YouTubeの「不動産投資」に関する動画を何回も繰り返し視聴するうちに、どうしてももう1軒、投資物件を持ちたいという思いが、抑えられないくらい膨らんでしまいました。 そうなると、動き出さずにはいられない私です。リベ大以外の「築古戸建投資」を扱ったYouTubeを、かたっぱしから探し出しては視聴しまくりました。同時に不動産投資関連の書籍も数冊購入して、知識を蓄えていきました。そのころ頭の中は「どうしたらよい物件を見つけ出せるのだろうか」で、ほとんどを占めていましたね(笑)。 私が決めた、購入物件5つの条件 知識を蓄えながら、ネットの不動産サイト——at home、SUUMO、楽待——を、毎日時間の許す限り見まくっていました。そして、購入物件の条件として私が決めたのが、次の5つです。 自宅から私が走って行ける距離(笑)。何かあればすぐ駆けつけられること。 土地所有権の築古戸建。建物価値はほぼ0になっているだろうから、できるだけ土地値と購入価格の差が小さい物件。 現金一括購入するため、予算は800万円。 最寄り駅からは、できれば徒歩20分以内。 物件所在地周辺の環境として、学校やスーパー、クリニックなど子育てしやすそうなエリア。 条件②の考え方:土地値に近い価格で買えれば、建物の価値がゼロでも、最悪土地として売却すれば大きく損をしない——という「守り」の発想です。この「土地値に近い価格で買う」という判断が本当に正しかったのか。それは後の回で、ある形で答え合わせをすることになります。 「あぁ~また売れちゃった」を、4、5ヶ月 こうして絞り込んでいったのですが、なかなか最初の頃は、「いいな」と思っても業者へ連絡を入れて内覧の希望を伝えることができませんでした。そうこうしている間に、そういった物件は消えていっちゃうんです。「あぁ~また売れちゃった」なんてことを、4、5ヶ月くらいやってましたね。 それでも、私が「いいな」と思った物件が売れていくということは、物件選びでそれほどトンチンカンではなさそうだ——と妙な自信が付き、そこからは気になった物件を見つけるとどんどんメールや電話で連絡を入れ、内覧の申し込みをしていきました。 最初は内覧しても、何を聞いたらいいのか、どこを観たらいいのか、ちんぷんかんぷんでした。でもそれも、数をこなしていくうちに業者とのやり取りに慣れてきましたね。 そして出会った、松戸の築古戸建 この物件は『楽待』で見つけました。780万円で掲載されていて、土地値を路線価図から求めてみたのですが……正直、その計算が妥当だったかは怪しいです(笑)。それでも、条件と価格を見て「これだ」と思いました。 入居者の状況は、業者から資料を見せてもらいました。子ども4人の6人家族とのこと。利回りは表面利回り10%です。 項目 内容 所在 千葉県松戸市 築年月 昭和52年(1977年)11月/築約48年 構造・屋根 木造瓦葺2階建て 延床面積 60.14㎡(1階34.22㎡+2階25.92㎡)/約18〜19坪 間取り 3DK 最寄り駅 JR常磐線・松戸駅 徒歩約21分(約1.5km) 購入価格 7,800,000円(現金一括) 引き継いだ賃料 65,000円/月 表面利回り 10% この物件はオーナーチェンジ物件だったため、内覧はできませんでした。ふつうなら、中を見られないのは大きな不安材料です。ところが今回は、売主が今回の仲介業者そのもので、入居前に行ったリフォーム工事もこの業者が発注していたため、行われた工事の様子を写真付きで詳しく残してくれていました。納得のいく説明をいただけたことで、購入に前向きになれたのです。 そうなると、むしろすでに入居者がついているオーナーチェンジ物件は、安心感があったとすら言えます。買った瞬間から家賃が入ってくるわけですから。 買い付けから決済まで——初めてづくしの契約手続き まずは買付証明書を提出しました。競合はおらず、指値(値引き交渉)は入れず、満額の780万円で申し込みました。この買付証明書を出すときは、かなりドキドキしましたね。なにしろ、これまでの生涯で現金で買い物をする、最高金額の買い物ですから。 契約日当日は、雨が降っていました。売主である不動産業者の店舗で契約を行うことになっていたので、店舗の扉を開けるときには心臓がバクバクしていました。手付金は70万円を現金で用意しました。 契約ではさまざまな説明を受けましたが、事前に書籍などで知識を蓄えておいたおかげで、契約そのものは落ち着いて臨むことができました。ここでも、前回の高砂での教訓——「理解していない契約は結ばない」——が生きていたのだと思います。 契約後は、決済日(引き渡し日)に合わせた火災保険の契約が必要と考え、数社から見積もりを取って決めました。考え方は**「シンプルで必要最小限」**。過剰な補償はつけず、守るべきところを守る内容にしました。 火災保険の内容 設定 契約期間 5年間 保険料 13,550円/年 保険金額 1,100万円 火災・落雷・破裂・爆発 1,100万円(庭木・屋外設備は1事故100万円まで) 風災・雹災・雪災 1,100万円(庭木・屋外設備は1事故100万円まで) 地震保険 加入せず そして決済です。登記代行手数料として、現金で168,190円を司法書士へお支払いしました。また、営業費として106,032円を、売主でもある不動産業者へお支払いしています(この費目の詳しい説明は必ず受けたと思うのですが、正直、内容を忘れてしまいました……)。なお、仲介手数料は発生しませんでした。売主である不動産業者からの直接購入だったためです。 ...

July 10, 2026

大家業、はじめの一歩——「売りますか?」に「貸します」と答えた日

お金と僕の12年戦争・第13話 前回は、二軒の戸建賃貸がわが家の家計にもたらしてくれたものについてお話ししました。今回からは、その二軒を実際にどう運営し、いまどうなっているのか——リアルな数字と現実を、包み隠さずお話しいたします。まずは一軒目、高砂のペンシルハウスから。二軒目・松戸の築古戸建は、次回たっぷりと語ります。 「売りますか?」——業者の口から「貸しますか?」は出てこない まずは高砂のペンシルハウスから。もともと居住する目的で、空き家にしていた実家(狭小地の古家)を建て替えた家です。前回お話ししたとおり、建て替え後に出産で家族が増え、手狭になった末の転居により「この家、どうするか問題」が発生しました。ちなみに住宅ローンは完済済みです。 選択肢は二つ。「売る」か「貸す」か。 迷いますよね。これまでの人生でまったく経験のない、まったく学んでもいない事柄ですから。当然、新居として購入した建売物件を販売した業者の担当者は言います。 「いままで住んでいた家をどうなさいますか?」 「売りますか?」「売りますか?」「売りますか?」…… 「貸しますか?」は、ありませんでしたね(笑)。 売却金額のことを抜きに考えれば、私の手間としては、担当者に「売ります」と告げて任せてしまうのが一番楽な方法だったと思います。 結局、決断の決め手になったのは感情の部分——「両親が私に遺してくれた家」ということでした。不安は山積みでしたが、「貸す」を選択しました。担当者にとってはまさかの回答だったのか、ちょっとビックリした様子で聞き直していました(笑)。 理解していない契約を、結んではいけない 「貸す」と決めたはいいのですが、その先どう進めたらいいのかがわかりません。とりあえず担当者が「賃貸部門の者をご紹介いたします」と言うので、お願いすることにしました。 賃貸部門の担当者との面談では、こちらは当然の素人ですから、出てくる言葉の意味はわからないし、その条件が私にとって都合が良いのか、業者にとって都合が良いのか、まったく判断がつきませんでした。結局いろいろと説明を受けて、3ヶ月を求められたところを、2ヶ月の「専属専任媒介契約」を結びました。 この契約が良かったか悪かったかは別にして、理解していない契約を締結することは、絶対にしてはいけません。いまなら断言できます。 リフォーム? 壁紙? ——まずはクリーニングだけで勝負 そこからの私の行動です。賃貸に出すにはリフォームは必要なのか。壁紙は交換すべきか。クリーニングだけでいいのか。わからないことだらけで、担当者に聞いたのだと思うのですが、正直、記憶がありません。結局、築6年くらいだったので、まずはクリーニングのみで対応することにしました。 クリーニング業者は、担当者に頼らず私が自分で探しました。たまたま路線バスを運行していて目に留まった、墨田区に店を構える「ベンリー」というフランチャイズの業者さん。以前に縦型洗濯機の洗浄を依頼したことがあり、とても丁寧に仕事をしていただいたことを思い出して、問い合わせてみました。 戸建て一軒丸ごとの清掃依頼を受けるのは初めてだとおっしゃっていましたが、快く引き受けてくださり、3階建てにもかかわらず7万円という価格で請け負っていただきました。2日間まるまる作業していただき、場所によっては応援の方が入ってくれるなど、本当に丁寧な仕事ぶり。特にキッチンまわりのコンロと換気扇は、さすがプロと唸らされる仕上がりでした。 家賃設定の壁——「貸したい家賃」と「相場の家賃」 家賃の設定は難しかったですね。心情的に貸したい家賃と、地域相場からの家賃には開きがありましたから、募集当初は相場よりも少し高めの110,000円という設定となってしまい、募集開始から1週間ほどは内覧希望や問い合わせなどの動きがほとんどありませんでした。 そこで地域相場に合わせて100,000円に引き下げたところから問い合わせが入るようになってきたようですが、成約には至らず、2ヶ月間の「専属専任媒介契約」は終了しました。 私もこの2ヶ月間でいろいろ学びました。契約延長の依頼はありましたがお断りして、最寄りの高砂駅と隣の青戸駅にあった数軒の賃貸仲介会社と「一般媒介契約」を結んで依頼することにしました。これも初めての経験でしたので、ドキドキしました。 このとき私は、家賃をさらに92,000円まで引き下げました。正直、地域相場よりも少し安いところです。しかし2ヶ月間の空振りを経て、「高く貸す」よりも「早く決める」——スピード優先の方針に切り替えたのです。空室のままでは、家賃は1円も入ってきませんから。 結果——依頼から10日ほどで、青戸駅近くの賃貸仲介会社が入居者を決めてくれました。 成約条件 内容 募集家賃の推移 110,000円 → 100,000円 → 92,000円 成約家賃 92,000円/月(相場よりやや安め・スピード優先) 敷金 1ヶ月分 礼金 なし 仲介手数料(大家負担) 家賃1ヶ月分 ※ハウスクリーニング費用:70,000円(3階建て一軒丸ごと・2日間作業) 初めての家賃入金——給料ではない、自分で稼いだ所得 正式に契約書に署名捺印をして、最初の家賃の入金が確認できたときの喜びは、一生忘れることはないと思います。給料として受け取る以外の、本当の意味で自分自身で稼ぎ出した所得ですからね。格別なものでした。 管理はどうする?——月5,060円の委託を断り、「勉強」の自主管理へ ここで管理について触れておきます。入居者様が決まった際、仲介業者から管理を請け負いたい旨の営業がありました。管理費用は毎月家賃の5%。つまり92,000円ですから4,600円、消費税460円を加えて月5,060円です。 管理の内容をうかがうと、家賃の入金確認と、未入金の場合の督促が主な業務ということでした。私にとっては一軒だけですし、初めてのことなので「勉強」のつもりで自主管理を申し出ました。 退去と入居を繰り返して、現在へ 最初の入居者様が決まった後は、幾度か退去と入居を繰り返しながら現在に至ります。幸いにも、退去の申し入れを受けて募集を開始すると、まだ入居者様がいて内覧できない状況にもかかわらず、次の入居者様が決まる——というありがたい流れで来ております。 とはいえ、退去があれば原状回復のためのリフォーム工事は必要になりますし、外壁塗装工事もおこないました。 外壁塗装——1年待ったら、10万円値上がりしていた 外壁塗装工事は2022年12月に行い、費用は850,000円でした。 実はその約1年前、2021年11月に4社から相見積もりをとっていました。当時はまだ入居者様がおられたので、すぐに工事をするつもりではなく、準備として相場感をつかんでおきたかったのです。使用塗料・工事内容・金額を考慮して、この時点で1社を選んでいました。 そして2022年、11月末での退去が決まったのを機に、工事の決行を決断。あらためて同じ業者から見積もりを取ったところ——塗料などの材料費の値上げと人件費の高騰で、2021年11月時点では750,000円だった見積額が、100,000円値上がりしていたのです。 時期 見積額 2021年11月(入居中に準備の相見積もり・4社から1社選定) 750,000円 2022年12月(退去を機に工事決行・同じ1社) 850,000円(+100,000円) 2026年の現在は、さらに値上がりしているでしょうね。 ...

July 5, 2026

二軒の戸建がくれた、もう一本の柱

お金と僕の12年戦争・第12話 給与という一本足から、給与と家賃の二本柱へ。会社員である私に、家賃という新しい収入源——私自身は「不動産賃貸事業」と捉えています——が加わったこと。それは「収入が増えた」という以上に、私の人生を静かに、けれど確かに変えてくれました。 父が遺してくれた家を、私は空き家にしていた 私は葛飾区高砂で生まれ育ちました。両親は「なんとか自分たちの城を持ちたい」と頑張り、高砂に所有権11.26坪(約37.22㎡)という、狭小と呼ぶしかない土地と、そこに建つ木造2階建ての家を手に入れます。父は、その家を長男である私に遺したいと考えていたようです。 ところが私自身は、結婚を機に賃貸住宅での暮らしをスタートさせました。やがて父が亡くなり、母は埼玉県川越市に嫁いだ妹の家族のもとで暮らすようになります。こうして、私が育ったあの家は「空き家」になりました。 両親が遺してくれた家なのに、当時の私は「賃貸のほうが気が楽だ」と、空き家のまま放っておいたのです。どうにかしなければ、という思いは頭の隅にありながら——その状態が、10年ほど続きました。(父さん、ごめん。) 妻のひと言から、ペンシルハウスが建った 転機をくれたのは、妻でした。当時、私たちは9歳の長男を含む3人家族。ある日、妻が「実家を建て替えて住めないかな?」と切り出したのです。 ただ、敷地はわずか11.26坪。あまりに狭く、積極的に手を挙げてくれる工務店はなかなか見つかりませんでした。それでもどうにか引き受け先を見つけ、2008年8月、狭い土地を縦に使い切るように、木造3階建て・延床面積59.58㎡の、いわゆる「ペンシルハウス」が完成します。空き家だった実家は、こうしてようやく、家族の住む家として生まれ変わりました。 家族が増え、家が手狭になった 「3人家族なら、狭小住宅でも住んでいける」——そう考えての建て替えでした。ところが工事のさなかに妻の妊娠がわかり、「4人ならまだ大丈夫だろう」と新居に移ったときには、すでに4人家族。さらにその後、3人目の妊娠がわかり、無事に生まれて5人家族になると、さすがにこの家では狭すぎる、ということになりました。 そこで向かったのが、住み替えです。「今より子どもたちの小学校に近く、しかも高砂駅にも近い場所」という、なかなか難しい条件でしたが、運にも恵まれて良い家に出会えました。2014年6月、敷地64.32㎡・木造3階建て・延床面積102.54㎡の新築建売戸建を購入し、転居します。今でも本当に満足している我が家です。 (余談ですが、この家に移ってから妻はさらに二人の男の子を産んでくれ、我が家は4男1女、5人の子宝に恵まれました。) 住む家が「貸す家」になった、一軒目 そして高砂のペンシルハウスは、私たちが住み替えたその日を境に、「自分たちが住む家」から「人に貸す家」へと役割を変えました。これが、私の戸建賃貸業の一軒目です。 貸すために建てた家ではありません。父が遺し、妻の言葉で建て替え、家族で暮らし、そして手狭になって離れた——その積み重ねの結果として、気づけば私は大家になっていました。父に申し訳なかったあの空き家が、いまは家賃という形で家計を支えてくれている。そう思うと、少しだけ肩の荷が下りた気がします。 リベ大が背中を押した、二軒目 二軒目は、まったく違いました。 リベ大(両学長)の教えと『お金の大学』に出会い、「昇給を待つのではなく、収入を生む資産を自分で買う」という発想を知った私は、2022年1月、松戸市に敷地60.98㎡・木造2階建て・築48年の投資用築古戸建を購入しました。 築48年という数字に驚く方もいるかもしれません。けれど、リベ大で学んだ築古戸建投資の考え方に沿って、自分なりに数字を確かめ、納得して選んだ一軒でした。一軒目が「気づいたら大家」だとすれば、二軒目は「意志を持って買った大家」です。 ここで、二軒(と現在の自宅)を一覧にしておきます。 役割 取得・完成 所在地 敷地 構造・延床 一軒目(賃貸・旧自宅) 2008年8月 完成 葛飾区高砂 11.26坪(約37.22㎡) 木造3階建/延床 59.58㎡ (参考)現在の自宅 2014年6月 購入 高砂駅 近く 64.32㎡ 木造3階建/延床 102.54㎡ 二軒目(賃貸・投資用) 2022年1月 購入 松戸市 60.98㎡ 木造2階建/築48年 ※「現在の自宅」は賃貸物件ではありませんが、一軒目が賃貸へ切り替わった転機として参考に併記しています。 給与一本足から、二本柱へ ── 金銭面 会社員の収入は、基本的に給与とボーナスという一本足です。給与は生活費、ボーナスは臨時収入。シンプルですが、その一本が細れば、家計はそのまま揺らぎます。 そこに家賃収入が加わると、給与と家賃の二本柱になります。勤務先で残業が減った月でも、家賃は比較的安定して入ってくる。この「もう一本」があるだけで、家計の安定感はずいぶん変わりました。 大きいのは、昇給に依存しなくてよくなったことです。給与は毎年、数千円から数万円上がればいいほう。けれど中古戸建を一軒持てば、年間で数十万円、物件によっては100万円以上のキャッシュフローが見込めることもあります。「昇給を待つ」のではなく「資産を買って収入を増やす」。この発想の転換こそ、リベ大から受け取った一番の財産かもしれません。 ...

June 29, 2026

「もう一本の柱」iDeCo ― 節税と引き換えに、60歳まで縛るという選択

お金と僕の12年戦争・第11話 ――「節税」と引き換えに、お金を60歳まで縛るという選択 前回まで、私はNISA、そして子どもたちのジュニアNISAという「非課税の器」に資産を積み上げてきた話をしてきた。今回はその隣に、私たち夫婦がもう一本立てた柱――iDeCo(個人型確定拠出年金)の話をしたい。拠出を始めたのは 2021年8月。同じ月に、夫婦そろってのスタートだった。あれから何度かの制度改正をくぐり抜けて、今に至っている。 正直に言えば、iDeCoは「いいことずくめの制度」ではない。節税という強烈な入口の裏に、60歳まで引き出せないという縛りがある。だからこそ今回は、メリットを5つ、デメリットを5つ、できるだけフラットに並べたうえで、私が一番悩んでいる「出口」の話まで踏み込んでみる。 そもそも、いまのiDeCoはどんな制度か(2026年時点) iDeCoは、自分で掛金を出し、自分で運用し、原則60歳以降に受け取る私的年金だ。国が用意した公的年金(国民年金・厚生年金)の上に、自分で積み増す3階部分、と言うとイメージしやすい。 3階:iDeCo・企業年金など(私的年金) ← iDeCoはここ 2階:厚生年金(会社員・公務員=第2号) 1階:国民年金(基礎年金)(20歳以上のほぼ全員) 1階・2階は国が用意する公的年金、3階は自分で積み増す私的年金。厚生年金(2階)を持たない自営業(第1号)ほどiDeCoの枠が大きいのは、「足りない階を自分で補う」という制度の発想からだ。掛金の上限は、自分がどの被保険者にあたるかで決まっている。 区分 月額の上限 第1号(自営業など) 68,000円(国民年金基金・付加保険料と合算) 第2号・企業年金なし(会社員) 23,000円 第2号・企業型DCに加入 20,000円 第2号・DB等に加入/公務員 20,000円 第3号(専業主婦・主夫) 23,000円 加入できる年齢 原則 65歳未満(国民年金の被保険者であること) 受け取りを始める時期 60〜75歳 の間で自分で選ぶ そして大事な「これから」。2026年12月(2027年1月の拠出分)から大きな改正が控えている。第1号は月75,000円、第2号は企業年金と合算で月62,000円まで引き上げられ、iDeCo単体の上限という考え方は他制度との合算上限に一本化される。加入できる年齢も70歳未満まで広がる。私たちが積立を始めてからの数年で、受給開始年齢の拡大(2022年)など制度はじわじわ使いやすくなってきた。その流れの、今のところの到達点がこれだ。 「とりあえず始めて、改正のたびに少しずつ得をしてきた」――結果論だが、早く動いた者だけが受け取れたボーナスだったと思う。 iDeCoのメリット 5つ 掛金が全額、所得控除になる これが最大の入口。払った掛金はまるごと「小規模企業共済等掛金控除」の対象になり、その年の所得税と翌年の住民税が軽くなる。運用の上手・下手に関係なく、拠出した時点で確定するリターンだ。 運用で増えた分に税金がかからない 通常の投資なら利益に約20.315%課税されるところ、iDeCoの中では非課税。増えた分がそのまま再投資にまわり、複利がより効く。 受け取るときにも控除がある 一時金で受け取れば「退職所得控除」、年金で受け取れば「公的年金等控除」の対象。入口・運用中・出口の3か所で税優遇が用意されている。 いやでも貯まる仕組み 原則60歳まで引き出せない。一見デメリットだが、裏を返せば老後資金を“手をつけられない場所”に確保できるということ。意志の弱さを制度で補える。 低コストで長く積み立てられる 運営管理手数料が無料の金融機関を選び、低コストのインデックスファンドを積み立てれば、NISAと並ぶ非課税運用のもう一本の柱になる。 iDeCoのデメリット 5つ 原則60歳まで引き出せない 最大の弱点。教育費や住宅費など、人生の途中で必ず訪れる大きな出費とは“取り合い”になる。生活防衛資金やNISAとの配分を間違えると、家計が苦しくなる。 手数料がかかる 加入時に2,829円、さらに毎月最低でも171円(国民年金基金連合会105円+信託銀行66円)。運営管理機関の手数料は無料のところもあるが、ゼロにはできない固定費だ。 元本割れの可能性がある 自己責任で運用する制度なので、選んだ商品次第では資産が掛金を下回ることもある。NISAと同じく、ここは引き受けるべきリスク。 所得が少ないと節税の旨みが薄い 最大のメリットである所得控除は、そもそも納める税金があってこそ効く。専業主婦・主夫など所得がない人は、入口の節税効果がほとんど得られない。 出口(受け取り方)の設計が複雑 退職所得控除や公的年金等控除の組み合わせ、勤務先の退職金との関係――ここを詰めずに60歳を迎えると、せっかくの非課税が出口で目減りしかねない。次の章で掘り下げる。 出口での注意点 ―― 「もらい方」で手取りが変わる iDeCoは「貯める・増やす」ところまでは情報が多いのに、「どう受け取るか」になると急に静かになる。だが手取りを左右するのは、むしろ出口だ。受け取り方は大きく3つある。 ...

June 27, 2026

「廃止決定」の制度に、僕は子どもたちの未来を託した ― ジュニアNISA編

お金と僕の12年戦争・第10話 積立NISAをコツコツ続けながら、その頃の僕の「投資の先生」は、もっぱらYouTubeでした。通勤は相変わらず自転車。仕事でバスのハンドルを握る、その合間の休憩時間に、両学長のリベ大動画を眺めるのが、すっかり習慣になっていました。 そんなある日、一本のサムネイルが目に飛び込んできます。 【YouTube/リベ大】 【廃止決定】それなのに、ジュニアNISAをおすすめする理由 ――廃止が決まった制度を、わざわざおすすめする? 矛盾しているようなこのタイトルに、僕はつい再生ボタンを押していました。 「弱点」が消えた制度 動画によれば、かつてのジュニアNISAには、二つの大きな弱点がありました。 原則18歳まで引き出せない 途中で解約すると、非課税のメリットを失う 子どものお金とはいえ、18歳まで一切手をつけられないのは、正直しんどい。だからこの制度は、ずっと人気がありませんでした。 ところが、廃止が決まったことで、皮肉にもルールが改正されます。 いつでも払い出しOK 払い出しても、非課税メリットはそのまま維持 つまり、いちばんの弱点だった「引き出せない」が消えたのです。動画は「これで一気に使いやすくなった」と説明していました。 どんな制度だったのか 改めて整理すると、ジュニアNISAはこういう制度でした。 子ども1人につき、年間80万円まで投資できる 運用益・配当金は非課税 子ども名義の資産になる 長い時間をかけて運用できる たとえば0歳の子に毎年80万円を積み立てれば、18歳前後まで15年以上の運用期間が確保でき、複利の効果を最大限に活かせる――動画はそう語っていました。 そして、すすめられていた商品が、S&P500連動や全世界株式といった、低コストのインデックスファンド。これは、僕がいままさに自分でやっているインデックス投資の考え方と、ほとんど同じでした。気づけばリベ大の「おすすめ」に、自分の現在地のほうから追いついていた。そんな妙な手応えがありました。 ひとつだけ、注意点 ただし、見落とせない注意点もありました。子どもが18歳になると、資産は「継続管理勘定」へ移ります。ここでは―― 継続管理勘定でできなくなること 新規の買い付けはできない 商品の変更もできない つまり、最初に良い商品を選んで、あとはじっと長く持ち続けることが何より大事、というわけです。裏を返せば、最初の商品選びさえ間違えなければ、あとは時間が働いてくれる。インデックスファンドとは、相性が良さそうでした。 「利用しない理由が、見当たらない」 動画の結論は、シンプルでした。 小さな子どもがいて、10年以上運用できて、教育資金を準備したい。 そんな家庭なら、利用しない理由が見当たらないほど有利。 我が家は、まさにそのど真ん中。子どもは複数人、運用できる時間もたっぷりある。 ――そうと決まれば、動きが早いのが僕です。 楽天証券へ、まっすぐ 高配当株投資から撤退して、手元には450万円ほどの資金が残っていました。この行き場を探していたお金に、ようやく「正解」が見つかった気がしました。 上の長子はすでに成人して独立していたので、ジュニアNISAの対象は下の4人。すぐに楽天証券で、それぞれの子ども名義の証券口座とジュニアNISA口座を開設し、まずは4人分、年上限の80万円ずつ、迷わず eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) を買い付けました。その後も2年目・3年目と、子どもごとに配分を調整しながら買い増し。最終的には、4人合わせて500万円をジュニアNISAに投じることになりました。 2番目 3番目 4番目 5番目 年合計 1年目 80 80 80 80 320 2年目 20 20 20 80 140 3年目 ― ― ― 40 40 累計 100 100 100 200 500 全額 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)/単位:万円。長子はすでに独立していたため、対象は2番目〜5番目の4人、元本は合計500万円。 ...

June 26, 2026

「短期トレード」の果てにたどり着いた答え ──インデックス投資という、長期戦のはじまり

お金と僕の12年戦争・第9話 前回、私はこう締めくくりました。20万円の利益は出た。それでも、あれは紛れもなく「失敗」だった――と。けれど不思議なもので、その失敗こそが、私の進むべき方向をくっきりと照らし出してくれたのです。 結局のところ、私がやっていたのは「高配当株投資」ではなく、ただの「短期トレード」でしかなかったわけですね(笑)。せめてもの幸いは、20万円ほどの利益が出たこと――だったでしょうか。いやでも、これはやっぱり「失敗」です。 ――前回のおわりに 失敗が指し示した、進むべき方向 毎日の値動きに一喜一憂し、気づけばスマホばかり眺めている。本業でハンドルを握っているあいだも、頭の片隅では株価がちらつく。――そんな投資は、もう続けられない。そう腹をくくったとき、次に向かうべき道は、むしろハッキリと見えていました。インデックス投資です。 ただ、前回の手痛い反省があります。だから今回こそは、「インデックス投資とはどういう投資なのか。その強みと弱みをきちんと理解したうえで、相場が荒れても長期で持ち続けられるだけの"握力"を手に入れたい」――そう考えました。 私はどうにも「思い立ったらすぐ動く」性分で、それが過去の失敗の引き金にもなってきました。でも今回ばかりは、その性分がいい方向に転がります。**とにかく小さく始めて、走りながら学ぶ。**そう決めたのです。 月1万円から、走りながら学ぶ まず手をつけたのは、リベ大の両学長が紹介していた投資信託のひとつ、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)。これをNISAで毎月1万円、さっさと設定してしまいました。 金額は小さい。でも、「もう始めてしまった」という事実が何より大事でした。あとは走りながら学ぶだけ。YouTubeでインデックス投資の動画を、それこそ浴びるように見続けました。 「握力」を鍛えた5冊 動画のなかで繰り返し名前の挙がる本を、まずは5冊買って読みました。 サイコロジー・オブ・マネー — お金にまつわる「人の心理」と向き合う一冊 敗者のゲーム — なぜ個人投資家はインデックスに行き着くのか JUST KEEP BUYING — とにかく買い続けることの力 ウォール街のランダム・ウォーカー — インデックス投資の"古典" となりの億万長者 — “普通の人"がどう資産を築くのか 正直、読みにくい本もありました。それでも、**わからないなりに最後まで読み切った。**この積み重ねが、あとからじわじわ効いてきます。 いきなり5冊はハードルが高い、という方へ。もし「まず1冊だけ」なら、私はこれをおすすめします。投資のテクニックではなく、お金と向き合う「心の持ちよう」を教えてくれる一冊で、いちばん読みやすく、いちばん効きました。 サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセットモーガン・ハウセル/ダイヤモンド社。まず1冊なら、これ。握力の土台になる名著 Amazonで見る › 気づけば、月1万円が月3万円に そんなふうに知識を積み上げているうちに、ある変化が起きていました。当初は月1万円だった掛金。それを3万円に増やしても、不安をまったく感じなくなっていたのです。 月1万円 → 月3万円。増額しても、心はむしろ静かになっていった。 高配当株のときとは、まるで逆でした。あのころは金額が小さくても値動きが気になって仕方なかったのに、今は金額を増やしても、何も感じない。**理解が、握力を生む。**そのことを、身をもって実感した瞬間でした。 高配当株(前回) インデックス投資(今回) 実態 事実上の短期トレード 長期の積み立て 毎日の値動き 気になって仕方ない ほとんど見なくなった 本業への影響 集中力を削られた 意識から消えた 増額したとき 不安が増す むしろ落ち着く この回の学び ...

June 25, 2026

「株主」にはなれた。でも「投資家」にはなれなかった ── 高配当株投資、爆速参入・爆速撤退の記録

お金と僕の12年戦争・第8話 ― 高配当株投資、爆速参入・爆速撤退の記録 すべては「リベ大」から始まった 私が株式投資という世界に足を踏み入れたきっかけ。それは、両学長の「リベ大」YouTubeでした。第3話で書いたとおり、妻からプレゼントされた一冊『お金の大学』をきっかけにリベ大の動画を見るようになった私は、そこからお金の世界へとぐいぐい引き込まれていきました。 2020年頃のリベ大では、「FIRE」の話題や、当時の株式市場の状況を反映してか「高配当株投資」の話題がとても盛んだったように思います。とはいえ、聞き始めの頃は正直、何を話しているのかさっぱり理解できませんでした。それでも学長が「聞いていたら、そのうち何となくわかるようになってくるよー」と言うので、その言葉を信じて、過去の動画を隅から隅まで見まくったのです(笑)。 【改訂版】本当の自由を手に入れる お金の大学両@リベ大学長/朝日新聞出版。私のすべての出発点になった一冊 Amazonで見る › 「FIRE」という生き方との衝撃の出会い 見続けるうちに、私の中で一番の衝撃だったのは——「FIRE」という生き方が、この世に実在するということ。そして「そんな生き方を選んでもいいんだ」ということでした。 もっとも、私の現実はというと、子ども5人の大家族、しかも住宅ローンあり。FIREという生き方が自分に当てはまるとは、正直まったく思えませんでした。それでもこの出会いは、「自分が知らなかったこと」「間違って思い込んでいたこと」が世の中にはまだまだたくさんありそうだ——そう私に気づかせてくれたのです。 そんな中で、私が強烈に憧れてしまった言葉があります。「不労所得」。なんとも魅惑的な響きではありませんか。 爆速で整えた「高配当株投資」の準備 憧れてしまったら、もう止まりません。リベ大を参考に、楽天銀行・楽天証券を開設し、NISAの手続きも完了。「高配当株投資」を始める準備を、猛スピードで整えてしまいました。 ——実は私、とにかく動き出すのが早いんです。そのおかげで失敗することも、まあまああるのですが(苦笑)。 当時の学長は、「学長が今月から高配当株投資を始めるなら」というコンテンツを、毎月オープンに発信してくれていました(現在はオンラインコミュニティ『リベシティ』の中での発信になっています)。しかもそこでは、実際の企業名を数十社あげ、それぞれ「いくらずつ買うか」まで具体的に示してくれていたのです。 私はそれにすぐ食いつきました。そして総額でおよそ450万円分を、一気に購入してスタートを切ったのです。 30銘柄の「株主」になれた喜び 一社一社、株を買い進めていく作業。最初はドキドキで、緊張しました。それでも、ようやく30社ほどの株を手にできたときには、なんとも言えない喜びが湧いてきたんです。 だって、私はもう「株主」ですからね。 それまで私にとって株とは、「お金持ちがやること」でした。でも実際にやってみて気づいたのです。株とは「お金持ちになるためにやること」でもあったんだ、と。 あっけない「撤退」——一度も配当金を受け取れずに ところが。意気揚々と始めた高配当株投資は、あっけなく失敗に終わりました。 原因は、はっきりしています。「高配当株投資とはどういう投資なのか」を本当の意味で理解しないまま始めてしまったこと。これに尽きます。 当たり前の話ですが、私は毎日毎日、持っている株の株価の変動が気になって気になって、仕方がない状態になってしまったのです。 私の本業は、路線バスの運転手です。お客様の命を預かるこの仕事に、株価の上下が頭をよぎるような精神状態で臨むわけにはいきません。「このままでは本業に支障をきたしかねない」——そう判断した私は、ただの一度も「配当金」を受け取ることなく、すべての株を売却しました。あえなく『撤退』です。 結局のところ、私がやっていたのは「高配当株投資」ではなく、ただの「短期トレード」でしかなかったわけですね(笑)。 せめてもの幸いは、20万円ほどの利益が出たこと——だったでしょうか。いやでも、これはやっぱり「失敗」です。 そして「王道」インデックス投資へ この撤退をきっかけに、私は現在も続けている「王道」のインデックス投資の道を歩み始めることになりました。日々の値動きに一喜一憂せず、長期でコツコツ積み立てていく——今思えば、あの高配当株での大失敗があったからこそ、自分に合う投資のスタイルにたどり着けたのかもしれません。 「日々眺めなくていい」というこの考え方を、私のように値動きに振り回されてしまう人間に教えてくれたのが、次の一冊でした。タイトルがもう、すべてを言い表しています。 【全面改訂 第3版】ほったらかし投資術山崎元・水瀬ケンイチ/朝日新書。インデックス投資の「王道」を最短で教えてくれる定番 Amazonで見る › ▼ 私の場合の、ふたつの投資スタイル 高配当株投資(当時の私) インデックス投資(現在) 買い方 数十社を自分で選び、一気に約450万円 1本の投資信託を、毎月コツコツ積立 日々やること 毎日、株価が気になって仕方ない 基本ほったらかし。見なくていい 本業への影響 運転に支障が出かねないと判断 気にならず、仕事に集中できる 結果 配当金ゼロのまま撤退(+20万円) 今も継続中 おまけ——あのとき売らずに持ち続けていたら 最後に、ちょっと笑える(そして少し悔しい)後日談を。 最近、当時買っていた高配当株の銘柄を、Yahoo!ファイナンスに入力して管理していたデータが、ひょっこり出てきたんです。せっかくなので、株式分割した銘柄を調整したりしながら、今いくらになっているのか確かめてみました。 すると——なんと株価が軒並み爆上がりしていて、含み益はおよそ600万円。 とりわけ効いていたのが、銀行株と商社株でした。当時は「どうせ上がらない」「万年割安株」などと揶揄されることもあった顔ぶれです。正直なところ、私自身も買ったはいいものの、さほど期待はしていなかった銘柄たち。それが数年後には株価を大きく伸ばし、今の水準にまで化けていたのです。 ...

June 19, 2026