お金と僕の12年戦争・第8話 ― 高配当株投資、爆速参入・爆速撤退の記録


すべては「リベ大」から始まった

私が株式投資という世界に足を踏み入れたきっかけ。それは、両学長の「リベ大」YouTubeでした。第3話で書いたとおり、妻からプレゼントされた一冊『お金の大学』をきっかけにリベ大の動画を見るようになった私は、そこからお金の世界へとぐいぐい引き込まれていきました。

2020年頃のリベ大では、「FIRE」の話題や、当時の株式市場の状況を反映してか「高配当株投資」の話題がとても盛んだったように思います。とはいえ、聞き始めの頃は正直、何を話しているのかさっぱり理解できませんでした。それでも学長が「聞いていたら、そのうち何となくわかるようになってくるよー」と言うので、その言葉を信じて、過去の動画を隅から隅まで見まくったのです(笑)。

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「FIRE」という生き方との衝撃の出会い

見続けるうちに、私の中で一番の衝撃だったのは——「FIRE」という生き方が、この世に実在するということ。そして「そんな生き方を選んでもいいんだ」ということでした。

もっとも、私の現実はというと、子ども5人の大家族、しかも住宅ローンあり。FIREという生き方が自分に当てはまるとは、正直まったく思えませんでした。それでもこの出会いは、「自分が知らなかったこと」「間違って思い込んでいたこと」が世の中にはまだまだたくさんありそうだ——そう私に気づかせてくれたのです。

そんな中で、私が強烈に憧れてしまった言葉があります。「不労所得」。なんとも魅惑的な響きではありませんか。

爆速で整えた「高配当株投資」の準備

憧れてしまったら、もう止まりません。リベ大を参考に、楽天銀行・楽天証券を開設し、NISAの手続きも完了。「高配当株投資」を始める準備を、猛スピードで整えてしまいました。

——実は私、とにかく動き出すのが早いんです。そのおかげで失敗することも、まあまああるのですが(苦笑)。

当時の学長は、「学長が今月から高配当株投資を始めるなら」というコンテンツを、毎月オープンに発信してくれていました(現在はオンラインコミュニティ『リベシティ』の中での発信になっています)。しかもそこでは、実際の企業名を数十社あげ、それぞれ「いくらずつ買うか」まで具体的に示してくれていたのです。

私はそれにすぐ食いつきました。そして総額でおよそ450万円分を、一気に購入してスタートを切ったのです。

30銘柄の「株主」になれた喜び

一社一社、株を買い進めていく作業。最初はドキドキで、緊張しました。それでも、ようやく30社ほどの株を手にできたときには、なんとも言えない喜びが湧いてきたんです。

だって、私はもう「株主」ですからね。

証券会社の電光株価ボード。商社株や銀行株がずらりと並ぶ。当時の私は、この数字が毎日気になって仕方なかった。(Photo: nappa / CC BY 2.0, via Wikimedia Commons)

それまで私にとって株とは、「お金持ちがやること」でした。でも実際にやってみて気づいたのです。株とは「お金持ちになるためにやること」でもあったんだ、と。

あっけない「撤退」——一度も配当金を受け取れずに

ところが。意気揚々と始めた高配当株投資は、あっけなく失敗に終わりました。

原因は、はっきりしています。「高配当株投資とはどういう投資なのか」を本当の意味で理解しないまま始めてしまったこと。これに尽きます。

当たり前の話ですが、私は毎日毎日、持っている株の株価の変動が気になって気になって、仕方がない状態になってしまったのです。

私の本業は、路線バスの運転手。お客様の命を預かるこの仕事に、株価の上下が頭をよぎる精神状態で臨むわけにはいかなかった。

私の本業は、路線バスの運転手です。お客様の命を預かるこの仕事に、株価の上下が頭をよぎるような精神状態で臨むわけにはいきません。「このままでは本業に支障をきたしかねない」——そう判断した私は、ただの一度も「配当金」を受け取ることなく、すべての株を売却しました。あえなく『撤退』です。

結局のところ、私がやっていたのは「高配当株投資」ではなく、ただの「短期トレード」でしかなかったわけですね(笑)。

せめてもの幸いは、20万円ほどの利益が出たこと——だったでしょうか。いやでも、これはやっぱり「失敗」です。

そして「王道」インデックス投資へ

この撤退をきっかけに、私は現在も続けている「王道」のインデックス投資の道を歩み始めることになりました。日々の値動きに一喜一憂せず、長期でコツコツ積み立てていく——今思えば、あの高配当株での大失敗があったからこそ、自分に合う投資のスタイルにたどり着けたのかもしれません。

「日々眺めなくていい」というこの考え方を、私のように値動きに振り回されてしまう人間に教えてくれたのが、次の一冊でした。タイトルがもう、すべてを言い表しています。

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▼ 私の場合の、ふたつの投資スタイル

高配当株投資(当時の私) インデックス投資(現在)
買い方 数十社を自分で選び、一気に約450万円 1本の投資信託を、毎月コツコツ積立
日々やること 毎日、株価が気になって仕方ない 基本ほったらかし。見なくていい
本業への影響 運転に支障が出かねないと判断 気にならず、仕事に集中できる
結果 配当金ゼロのまま撤退(+20万円) 今も継続中

おまけ——あのとき売らずに持ち続けていたら

最後に、ちょっと笑える(そして少し悔しい)後日談を。

最近、当時買っていた高配当株の銘柄を、Yahoo!ファイナンスに入力して管理していたデータが、ひょっこり出てきたんです。せっかくなので、株式分割した銘柄を調整したりしながら、今いくらになっているのか確かめてみました。

すると——なんと株価が軒並み爆上がりしていて、含み益はおよそ600万円

とりわけ効いていたのが、銀行株と商社株でした。当時は「どうせ上がらない」「万年割安株」などと揶揄されることもあった顔ぶれです。正直なところ、私自身も買ったはいいものの、さほど期待はしていなかった銘柄たち。それが数年後には株価を大きく伸ばし、今の水準にまで化けていたのです。

当時から持ち続けられている方々は、さぞうれしい状況でしょうね(笑)。まあこれも、「私には握力(=持ち続ける力)がなかった」という、ひとつの学びということで。


今回の学び

  • 「不労所得」への憧れだけで始めると、その投資の本質を理解しないまま突っ込んでしまう。
  • 生活や本業に支障が出る投資スタイルは、どれだけ理論上正しくても「自分には合っていない」。
  • 値動きに一喜一憂してしまう人間(=私)には、日々眺めなくていいインデックス投資のほうが向いていた。
  • そして何より——「握力」のない人間が個別株で長期保有を狙うのは、なかなかに難しい(笑)。

次回予告 撤退の先で歩み始めた「王道」インデックス投資。NISA・iDeCoを軸にした、今も続く積立の話へ——。


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