お金と僕の12年戦争・第9話

前回、私はこう締めくくりました。20万円の利益は出た。それでも、あれは紛れもなく「失敗」だった――と。けれど不思議なもので、その失敗こそが、私の進むべき方向をくっきりと照らし出してくれたのです。

結局のところ、私がやっていたのは「高配当株投資」ではなく、ただの「短期トレード」でしかなかったわけですね(笑)。せめてもの幸いは、20万円ほどの利益が出たこと――だったでしょうか。いやでも、これはやっぱり「失敗」です。

――前回のおわりに

失敗が指し示した、進むべき方向

毎日の値動きに一喜一憂し、気づけばスマホばかり眺めている。本業でハンドルを握っているあいだも、頭の片隅では株価がちらつく。――そんな投資は、もう続けられない。そう腹をくくったとき、次に向かうべき道は、むしろハッキリと見えていました。インデックス投資です。

ただ、前回の手痛い反省があります。だから今回こそは、「インデックス投資とはどういう投資なのか。その強みと弱みをきちんと理解したうえで、相場が荒れても長期で持ち続けられるだけの"握力"を手に入れたい」――そう考えました。

私はどうにも「思い立ったらすぐ動く」性分で、それが過去の失敗の引き金にもなってきました。でも今回ばかりは、その性分がいい方向に転がります。**とにかく小さく始めて、走りながら学ぶ。**そう決めたのです。

月1万円から、走りながら学ぶ

まず手をつけたのは、リベ大の両学長が紹介していた投資信託のひとつ、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)。これをNISAで毎月1万円、さっさと設定してしまいました。

長期で見れば、右肩上がりに伸びてきたS&P500。インデックス投資は、この「市場全体」をまるごと買う考え方だ。(Chart: Richardhy / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

金額は小さい。でも、「もう始めてしまった」という事実が何より大事でした。あとは走りながら学ぶだけ。YouTubeでインデックス投資の動画を、それこそ浴びるように見続けました。

「握力」を鍛えた5冊

動画のなかで繰り返し名前の挙がる本を、まずは5冊買って読みました。

わからないなりに、最後まで読み切った5冊。この積み重ねが、あとからじわじわ効いてきた。(Photo: Alexander Grey / CC0)

  1. サイコロジー・オブ・マネー — お金にまつわる「人の心理」と向き合う一冊
  2. 敗者のゲーム — なぜ個人投資家はインデックスに行き着くのか
  3. JUST KEEP BUYING — とにかく買い続けることの力
  4. ウォール街のランダム・ウォーカー — インデックス投資の"古典"
  5. となりの億万長者 — “普通の人"がどう資産を築くのか

正直、読みにくい本もありました。それでも、**わからないなりに最後まで読み切った。**この積み重ねが、あとからじわじわ効いてきます。

いきなり5冊はハードルが高い、という方へ。もし「まず1冊だけ」なら、私はこれをおすすめします。投資のテクニックではなく、お金と向き合う「心の持ちよう」を教えてくれる一冊で、いちばん読みやすく、いちばん効きました。

サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット
モーガン・ハウセル/ダイヤモンド社。まず1冊なら、これ。握力の土台になる名著
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気づけば、月1万円が月3万円に

そんなふうに知識を積み上げているうちに、ある変化が起きていました。当初は月1万円だった掛金。それを3万円に増やしても、不安をまったく感じなくなっていたのです。

月1万円 → 月3万円。増額しても、心はむしろ静かになっていった。

高配当株のときとは、まるで逆でした。あのころは金額が小さくても値動きが気になって仕方なかったのに、今は金額を増やしても、何も感じない。**理解が、握力を生む。**そのことを、身をもって実感した瞬間でした。

  高配当株(前回) インデックス投資(今回)
実態 事実上の短期トレード 長期の積み立て
毎日の値動き 気になって仕方ない ほとんど見なくなった
本業への影響 集中力を削られた 意識から消えた
増額したとき 不安が増す むしろ落ち着く

この回の学び

  • 「握力」は気合いではなく、理解から生まれる。 本を読み、仕組みを腹落ちさせるほど、相場のノイズが気にならなくなった。
  • 小さく始めて、走りながら学ぶ。 「すぐ動く」性分も、リスクを絞れば最大の武器になる。
  • 増額できるかどうかが、自分の握力のバロメーター。 不安なく積み増せたとき、ようやく長期投資家になれた気がした。

こうして私は、ようやく「長期で持ち続けられる投資家」のスタートラインに立てたのだと思います。かつて20万円の利益を出しながら"失敗"と呼んだあの日から、ずいぶん遠くまで来たものです。――そしてここから、もう一歩だけ踏み込む話が始まるのですが、それは次回に。


次回予告|ジュニアNISA、廃止が呼んだ"駆け込み"の決断

2022年、ジュニアNISA制度の廃止。普通なら身を引く場面で、なぜ私はあえて踏み込んだのか。背中を押したのは、またしてもリベ大の動画でした――。


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