「投資は投資、保険は保険」。頭ではわかっていた。でも行動に移すまでに、じつに4年かかった。


まず「棚卸し」から始めた

『お金の大学』を読んでから最初にやったことのひとつが、我が家の保険を全部並べてみることでした。保険証券をかき集め、「何に、いくら払っているのか」を一覧にしてみる。そうしないと、そもそも何を見直すかが決まりません。

出てきたのは、大きくふたつ。

保険名 種別 契約日 保険期間
積立利率変動型終身保険(米国通貨建) 一時払い終身 2011年6月1日 終身
スーパーがん保険 終身がん保険 1994年7月1日 終身

ここに火災保険(個人賠償責任特約付き)が加わりますが、主な見直し対象はこの2本でした。


❶ スーパーがん保険──現在も継続中

1994年7月、30年以上前に契約した保険です。

項目 内容
月額保険料 1,270円
契約開始 1994年7月1日
2026年5月時点の解約払戻金 397,800円

損益を数字で整理してみた

2026年5月現在で31年10か月、約382か月払い続けているとすると、総払込保険料は次のようになります。

  • 総払込保険料(概算):約48.5万円
  • 解約払戻金:約39.8万円
  • 差額(実質コスト):約8.7万円
  • 年間換算コスト:約2,700円

31年以上にわたってがんの保障を持ち続けて、実質コストは年間約2,700円。純粋な「保険料の損得」という視点で見れば、かなり健闘している契約だと思います。

1990年代の保険には「予定利率が高い」「同条件では今入りづらい」という特徴があります。月1,270円という保険料は、今の水準から見ると破格といっていいかもしれません。

もちろん「解約して約40万円を受け取る」という選択もあります。ただ、保険として機能しながらこの戻り率なら、貯蓄商品としては平凡でも、保険商品としての役割は十分に果たしている。そう判断して、現在も継続中です。


❷ ドル建て終身保険──4年越しの決断

問題はこちらでした。

項目 内容
商品名 積立利率変動型終身保険(米国通貨建)
契約日 2011年6月1日
一時払い保険料 3,467,109円
契約時為替レート 81.18円/米ドル
保険金額 50,000米ドル

2020年──解約できなかった

『お金の大学』を読んで、このドル建て終身保険が「見直し対象」であることはすぐにわかりました。投資と保険を一緒に詰め込んだ商品。両学長がYouTubeでも繰り返し言っていた「ぼったくり保険は早く解約して、優良なインデックス投資信託と必要な掛け捨て保険に分けなさい」──まさにこれが当てはまる契約でした。

頭では理解していた。でも、手が動かなかった。

2020年の時点では、契約日から10年が経過しておらず、円ベースでは元本割れの状態。為替差益でプラスになっているとはいえ、「損をした気持ち」が拭えず、解約のボタンを押せませんでした。あの感覚は、FXで損切りできなかったときとよく似ていました。感情がブレーキを踏んでしまうのです。

「理解と行動の間には、4年分の距離があった」というのが正直なところです。

2024年1月──ようやく解約

契約から12年以上が経った2024年1月30日、ついに解約に踏み切りました。

項目 内容
解約日 2024年1月30日
解約払戻金(米ドル) 47,206.71米ドル
解約時為替レート 146.88円/米ドル
解約払戻金(円換算) 6,933,721円

払い込んだ3,467,109円が、6,933,721円になって戻ってきた。一見すると倍になっており「良かった」と見えます。でも、ここで立ち止まって考えてみました。

もしS&P500に投資していたら?

現実的ではないにせよ、仮に2011年6月1日に同じ3,467,109円をS&P500に一括投資して、2024年1月30日に全額解約していたとしたら──。

シナリオ 試算額
実際の解約払戻金 約693万円
S&P500(配当なし・単純計算) 約2,350万円
S&P500(配当込み・再投資) 約2,800〜3,000万円

同期間でS&P500指数は約3.75倍になっていました。配当再投資・手数料なしの単純計算で約2,350万円、配当込みのトータルリターンで再投資していた場合には2,800万円〜3,000万円近辺になっていた可能性があります。

約693万円 vs 約2,800〜3,000万円。この差を「機会損失」と呼ぶことを、改めて実感しました。株の力には、本当に驚かされます。

後悔するためにこの計算をしたわけではありません。ただ「正しい知識を正しいタイミングで行動に移すこと」の価値を、数字として刻んでおきたかった。それだけです。


解約払戻金の行き先

受け取った6,933,721円は全額、NISA口座を使ってeMAXIS Slim S&P500インデックスファンドを購入しました。保険という名の「投資もどき」をやめて、本物の投資に回す。やるべきことをやるべき場所でやる、ただそれだけのことです。


掛け捨て保険──必要な保障を見極める

「ぼったくり保険を解約したら、代わりに掛け捨て保険に入りなさい」──これも両学長が一貫して伝えていたことでした。では「必要な保障」とはいくらか。そこから整理しました。

まず社会保険の確認から

万が一のときに家族が受け取れる金額を把握するため、社会保険事務所に予約を取り、担当者に直接確認してきました。確認したのは、私に万が一があった場合に妻が受け取れる遺族基礎年金・遺族厚生年金の具体的な金額です。

それに加えて、家賃収入・金融資産のバランスも加味しながら試算した結果、「一番下の息子が大学を卒業するまでの間、毎月7万円あれば足りる」という結論に至りました。私が70歳を迎えるまでの期間です。

選んだのはFWD生命の収入保障保険

項目 内容
会社名 FWD生命保険
商品名 収入保障保険(掛け捨て型)
月額受取額 70,000円
保険期間 私が70歳になるまで
月額保険料 2,940円

掛け捨てなので、満期になれば何も残りません。でも保険とはそういうものだと、今は腑に落ちています。使わなければ掛け捨てで終わる──それが本来の保険の姿です。


現在の「我が家の保険」

保険名 種別 月額保険料
火災保険(個人賠償責任特約付き) 損害保険 ——
FWD収入保障保険 掛け捨て 2,940円
スーパーがん保険 終身がん保険 1,270円

以上の3本のみです。車の保険については、27年前にマイカーの保有をやめているため、加入していません。

シンプルになると、頭の中もシンプルになります。「自分が何の保険に入っているか」がすぐ言えるようになったことが、思った以上に気持ちよかった。


「わかっていた」と「できた」の間には

2020年の時点で、すでに答えはわかっていました。ドル建て終身保険は解約する。掛け捨て保険に切り替える。インデックス投資に回す。

それが実行できたのは2024年1月──4年後のことでした。

「なぜ早くできなかったのか」と問われれば、感情だと思います。損をした気分、慣れ親しんだ契約を手放す不安、変化への摩擦。それらが理屈を上回っていた。

でも振り返ると、行動のきっかけになったのも感情でした。「このままではいけない」という焦りと、「正しいことをやろう」という意志。動かしてくれたのは、結局のところ感情なのです。

2024年を境に、我が家の保険はシンプルになりました。「投資は投資、保険は保険」という当たり前のことが、ようやく家計の上でも実現できた瞬間でした。


次回は6大固定費の見直し③──住宅ローンの見直し編へ続きます。3,300万円の住宅ローンをどう考え、どう動いたかをお話しします。


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